Research Press Release
ヨーロッパの国々における身長とBMIの遺伝的な多様性は相関する
Nature Genetics
2015年9月15日
国民の身長とボディマス指数(BMI)の平均値がヨーロッパ各国間で異なることに関する遺伝的基盤の研究が行われた。これにより、北欧諸国の人々が他のヨーロッパの人々よりも平均的に背が高く細身である理由を説明できる可能性がある。
身長やBMIなど多数のヒト形質には出身地に基づく差異が見られるが、そうした地域差が形づくられる際に遺伝子と環境が果たす相対的役割については解明されていない。
今回、Matthew Robinson、Peter Visscherたちは、ゲノムワイド関連解析(GWAS)のデータを用いて、ヨーロッパ14か国の9,416人の身長とBMIの差異について調べた。その結果、身長とBMIに対する過去の自然選択によって各国間の遺伝的差異が生じたことが判明した。平均すると、身長の遺伝的差異の24%とBMIの遺伝的差異の8%が、地域に基づく遺伝的な差によって説明することが可能だった。
Robinsonたちは、身長を高くする遺伝子の頻度が高いことがBMIを減らす遺伝子の頻度が高いことと強く相関していることを明らかにした。このことは、平均身長の高い国民が、細身の体になる遺伝要因を持つ可能性が高いことを示唆している。また、この新知見は、各国間の遺伝的差異が国民の平均身長の違いに対する1つの説明になる一方で、環境要因(例えば、食事)が国民のBMIの主な駆動要因であることを示唆している。
doi:10.1038/ng.3401
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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