Editorials
COVID-19と気候変動という2つの重大な課題を抱える今、国連が、科学諮問委員会を恒久的に設置するという決定は歓迎すべきだ。
The UN must get on with appointing its new science board p.189
doi: 10.1038/d41586-021-03615-y
COVID-19パンデミックを終わらせるにはワクチンの公正な分配が必須であり、オミクロン株に対する世界の自国優先の対策は事態を悪化させる恐れがある。
Omicron: the global response is making it worse p.190
doi: 10.1038/d41586-021-03616-x
News
オミクロン株の感染力、重症度、ワクチン回避能力など、科学者たちが懸命に研究を。
How bad is Omicron? What scientists know so far p.197
doi: 10.1038/d41586-021-03614-z
オミクロン株対策としての渡航制限はすでに時機を失しており、かえって研究を妨げるとの声も。
Omicron-variant border bans ignore the evidence, say scientists p.199
doi: 10.1038/d41586-021-03608-x
モデルナ社のSARS-CoV-2ワクチン関連の特許で、NIHの共同研究者が不当に除外されたとして、モデルナ社とNIHが係争に。
What the Moderna–NIH COVID vaccine patent fight means for research p.200
doi: 10.1038/d41586-021-03535-x
ディープマインド社のAIが、数学の分野で、これまで人間が見落としていたパターンを発見し、大規模なデータセットを扱う数学分野にも役立つ可能性が。
DeepMind’s AI helps untangle the mathematics of knots p.202
doi: 10.1038/d41586-021-03593-1
中国の火星探査機「天問1号」と探査車「祝融」が、火星北半球についての貴重なデータを。
China’s Mars rover has amassed reams of novel geological data p.203
doi: 10.1038/d41586-021-03554-8
News Features
オミクロン株の次に起こる進化とは
Beyond Omicron: what’s next for COVID’s viral evolution p.204
デルタ株やオミクロン株など新たに出現する変異株の急速な感染拡大は、ウイルスがどのように適応し、COVID-19のパンデミックが今後どう推移するかについての手掛かりを与えてくれる。
doi: 10.1038/d41586-021-03619-8
究極の宇宙望遠鏡
The $11-billion Webb telescope aims to probe the early Universe p.208
いよいよ打ち上げの近づいてきたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、他を圧倒する性能を備え、初期宇宙の謎を解明することを目指している。
doi: 10.1038/d41586-021-03620-1
News & Views
発生生物学:ヒトの胚発生のブラックボックスをのぞき見る
A peek into the black box of human embryology p.223
ヒトの初期胚発生の重要な段階である原腸形成に関与する分子機構は、ほとんど分かっていなかった。今回、原腸形成中のヒト胚から得られた遺伝子発現データによって、この過程に光が当てられた。
doi: 10.1038/d41586-021-03381-x
気候科学:二酸化炭素肥沃化効果の制約条件
Constraints on estimating the CO2 fertilization effect emerge p.224
植物は、地球の二酸化炭素放出の大部分を相殺しているが、この炭素シンクのサイズの見積もりは、異なるさまざまな陸域生物圏モデルに依存している。今回、複数のモデルとデータを組み合わせることで、この不確かさが減少した。
doi: 10.1038/d41586-021-03560-w
コロナウイルス:ナチュラルキラー細胞がCOVID-19の制御を助けることを示す手掛かり
Clues that natural killer cells help to control COVID p.226
ナチュラルキラー細胞は、SARS-CoV-2に感染した細胞を破壊できるが、今回、重症のCOVID-19患者ではこの免疫系防御が正常に機能していないことが分かった。この知見は、そうした場合にナチュラルキラー細胞を再活性化する方法の探求を促進するだろうか。
doi: 10.1038/d41586-021-02778-y
天文学:2つの大質量星を周回する巨大惑星の撮像
Giant planet imaged orbiting two massive stars p.227
今回、直接撮像によって、これまでに発見された惑星を持つ星の中で最大級のものを含む連星系を周回する、巨大惑星の存在が明らかになった。この発見は、惑星と恒星の形成に関する既存のモデルに疑問を投げ掛けるものである。
doi: 10.1038/d41586-021-03607-y
神経科学:摂食量を制限する小脳のニューロン
Cerebellar neurons that curb food consumption p.229
今回、マウスにおいて、小脳と呼ばれる脳領域で特定されたニューロン群を人工的に活性化すると、食物摂取が減少することが分かった。この知見は、食欲障害の患者の治療に影響を与える可能性がある。
doi: 10.1038/d41586-021-03383-9
Articles
天文学:大質量のbケンタウリ連星系に存在する広軌道の巨大惑星
A wide-orbit giant planet in the high-mass b Centauri binary system p.231
doi: 10.1038/s41586-021-04124-8
光物理学:フロケエンジニアリングによる光学非線形性の大きな変調
Giant modulation of optical nonlinearity by Floquet engineering p.235
doi: 10.1038/s41586-021-04051-8
物性物理学:ねじれ2層グラフェンにおける非従来型超伝導の証拠
Evidence for unconventional superconductivity in twisted bilayer graphene p.240
doi: 10.1038/s41586-021-04121-x
材料科学:本質的に伸縮可能な高周波ポリマーダイオード
High-frequency and intrinsically stretchable polymer diodes p.246
doi: 10.1038/s41586-021-04053-6
気候科学:CO2の増加による全球の光合成量の過去の増大に対する制約条件
A constraint on historic growth in global photosynthesis due to increasing CO2 p.253
doi: 10.1038/s41586-021-04096-9
古生物学:チリの亜南極地域で発見された移行期の曲竜類の風変わりな尾の武器
Bizarre tail weaponry in a transitional ankylosaur from subantarctic Chile p.259
doi: 10.1038/s41586-021-04147-1
社会科学:オンラインプラットフォーム上の社会的構成および政治的分極化を定量化する
Quantifying social organization and political polarization in online platforms p.264
doi: 10.1038/s41586-021-04167-x
神経科学:リバーストランスレーションによる小脳の飽和化ネットワークの特定
Reverse-translational identification of a cerebellar satiation network p.269
doi: 10.1038/s41586-021-04143-5
神経科学:哺乳類大脳皮質第5層ニューロンの生物物理特性に見られる相対成長ルール
Allometric rules for mammalian cortical layer 5 neuron biophysics p.274
doi: 10.1038/s41586-021-04072-3
生物学的手法:超分解能のマルチビュー共焦点顕微鏡
Multiview confocal super-resolution microscopy p.279
doi: 10.1038/s41586-021-04110-0
発生生物学:原腸形成中のヒト胚の単一細胞トランスクリプトームの特性解析
Single-cell transcriptomic characterization of a gastrulating human embryo p.285
doi: 10.1038/s41586-021-04158-y
微生物学:抗生物質に対する持続生残性における普遍的な物理的老化の動態の観察
Observation of universal ageing dynamics in antibiotic persistence p.290
doi: 10.1038/s41586-021-04114-w
コロナウイルス:COVID-19における時期尚早なTGFβ応答がNK細胞の抗ウイルス機能を抑制する
Untimely TGFβ responses in COVID-19 limit antiviral functions of NK cells p.295
doi: 10.1038/s41586-021-04142-6
免疫学:食餌中のアミノ酸から共生微生物によって作られる宿主免疫調節性脂質
Host immunomodulatory lipids created by symbionts from dietary amino acids p.302
doi: 10.1038/s41586-021-04083-0
免疫学:CRISPRスクリーニングで明らかになった栄養素によるT細胞免疫ライセンシングのためのシグナルハブ
CRISPR screens unveil signal hubs for nutrient licensing of T cell immunity p.308
doi: 10.1038/s41586-021-04109-7
代謝:IL-27シグナル伝達は脂肪細胞の熱産生とエネルギー消費を促進する
IL-27 signalling promotes adipocyte thermogenesis and energy expenditure p.314
doi: 10.1038/s41586-021-04127-5
がん:CLIP1–LTK融合は非小細胞肺がんの発がんドライバーである
The CLIP1–LTK fusion is an oncogenic driver in non‐small‐cell lung cancer p.319
doi: 10.1038/s41586-021-04135-5
免疫学:FAM72Aは抗体成熟の際にUNG2と拮抗して変異原性修復を促進する
FAM72A antagonizes UNG2 to promote mutagenic repair during antibody maturation p.324
doi: 10.1038/s41586-021-04144-4
免疫学:Fam72aは抗体多様化の際に誤りが起こりやすいDNA修復を強化する
Fam72a enforces error-prone DNA repair during antibody diversification p.329
doi: 10.1038/s41586-021-04093-y
生化学:Ubr1を介したN-デグロンのポリユビキチン化についての構造からの考察
Structural insights into Ubr1-mediated N-degron polyubiquitination p.334
doi: 10.1038/s41586-021-04097-8
構造生物学:HER2–HER3–NRG1β複合体の複数の構造から明らかになった動的な二量体界面
Structures of the HER2–HER3–NRG1β complex reveal a dynamic dimer interface p.339
doi: 10.1038/s41586-021-04084-z