Article
光物理学:フロケエンジニアリングによる光学非線形性の大きな変調
Nature 600, 7888 doi: 10.1038/s41586-021-04051-8
光を用いた強力な周期的駆動によって、超高速の時間スケールで量子材料の特性をコヒーレントに操作できる可能性がある。最近、非自明なバンドトポロジー、創発的スピン相互作用、さらには超伝導をも光学的に誘起することによって、電子特性や磁気特性を大きく変える戦略が登場している。しかしこれに比べて、オンデマンドでの光学特性のコヒーレント操作の将来性やその方法についてはほとんど分かっていない。今回我々は、ファンデルワールス層状磁性絶縁体であるマンガン三硫化リン(MnPS3)において、光学非線形性のコヒーレントな制御と大きな変調を実証する。我々は、マンガンのオンサイトd–d最低遷移から遠く離れた共鳴を駆動することによって、測定可能な散逸なしに、光第二高調波発生効率のコヒーレントなオンオフ・スイッチングを、100フェムト秒の時間スケールで観測した。オンオフ比は、109 V/mのオーダーの駆動電場で10を超えており、これは試料の損傷しきい値によってのみ制限される。MnPS3の単一イオンモデルに基づくフロケ理論計算によって、測定された駆動電場の振幅とこの効果の偏光依存性が再現できた。今回の手法は、さまざまな絶縁体材料に適用でき、動的に設計される非線形光学素子の実現につながる可能性がある。

