The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

フレキシブルなX線撮像

Nature 590 2021年2月18日

X線撮像技術には、医療診断、手荷物検査、工業検査などの分野で非常に重要な用途がある。しかし、この技術は、ガラス基板とフラットパネル検出器の一体化に依存していることが多いため、湾曲した三次元物体や不規則な形状の三次元物体の高解像度X線画像を得ることは、通常不可能である。今回X Liuたちは、対象物体に巻き付けて簡単に使えるフレキシブルな検出器に基づいた、「X線ルミネッセンス時間延長画像化(X-ray luminescence extension imaging)」と名付けた手法を実証している。この検出器は、X線による励起後に残光を発するランタノイドをドープしたナノ材料を用いて作られており、この技術によって、ポイントオブケア撮像向けにこれまでにない空間分解能が得られ、ウエアラブルX線検出器も実現できる可能性がある。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00350-2

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03251-6

2

持続可能な原料から得られるリサイクル可能なプラスチック

Nature 590 2021年2月18日

ポリエチレンなどのプラスチックは、メカニカルリサイクルが可能だが、このリサイクル過程は無限に繰り返すことができない。この過程は材料性能の劣化を伴うため、より新しいポリマーを常に加える必要があり、これには化石燃料由来の反応物を用いることが多い。今回S Meckingたちは、持続可能な植物油原料から、機能的特性が高密度ポリエチレンに匹敵するポリカーボネート材料とポリエステル材料を製造する方法を報告している。これらの材料は、塩基性溶液中で容易に解重合して構成モノマーを生成でき、得られたモノマーはすぐに再重合させることができる。これは、ポリエチレン様プラスチックの持続可能な合成方法であり、循環型プラスチック経済をいかに実現できるかを示した一例である。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00349-9

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03149-9

3

CFC-11の排出量が再び減少

Nature 590 2021年2月18日

2013年以降、オゾン層破壊物質トリクロロフルオロメタン(CFC-11)の排出量が予想外に増大し、その大半が中国東部の排出源に起因するとされたことから、最近、成層圏のオゾン層の回復に懸念が生じていた。今回、中国東部地域からのCFC-11排出量が調べられ、現在この地域からのCFC-11排出量が2013年より前のレベルに戻っていることが見いだされた。著者たちは、おそらくこの地域からの排出量を抑制する迅速な行動によって、オゾン層の回復の大幅な遅れが回避された可能性が高いと示唆している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03277-w

4

バイオ燃料生産のためのゲノム情報資源

Nature 590 2021年2月18日

スイッチグラス(Panicum virgatum)はバイオマス作物として有望視されているが、個々の栽培品種はごく限られた範囲の気候条件でしか生産力を持たない。今回J Lovellたちは、異系交配された四倍体スイッチグラス遺伝子型AP13のサブゲノム別アセンブリ、732種類の遺伝子型からなる多様性パネルの塩基配列再解読による気候関連適応の検討、そして、収量関連形質のゲノム規模関連解析の結果を報告している。総合するとこれらの結果は、育種家に対して、バイオ燃料の収量を増加させるための網羅的なゲノム情報資源を提供している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00212-x

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03127-1

5

骨髄における造血の視覚的地図

Nature 590 2021年2月18日

成体では、骨髄が造血の主要な部位である。造血幹細胞だけでなく、より運命拘束が進んだ前駆細胞も、骨髄においてそれらの機能を支える特殊化したニッチに存在することが知られている。D Lucasたちは今回、複数の蛍光レポーターを組み合わせて用い、骨髄系共通前駆細胞から、樹状細胞、単球、好中球まで、骨髄中のあらゆる骨髄細胞の視覚的地図を構築している。彼らはこれらの地図を用いて、骨髄前駆細胞は、分化に際し造血幹細胞ニッチから離れて、コロニー刺激因子1(CSF1)を分泌する類洞の特定のサブセットへと移動し、そこで単球や樹状細胞に分化することを明らかにした。この研究は、骨髄造血の詳細な地図を提供しており、骨髄の微小環境が造血系細胞系統樹に沿って細胞決定を調節する仕組みについての新しい手掛かりを示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03201-2

6

アクチノバクテリア類による抗生物質産生の詳細な分子基盤

Nature 590 2021年2月18日

ストレプトミセス属のStreptomyces coelicolorなどのアクチノバクテリア門の細菌は、抗生物質を産生する重要な細菌だが、抗生物質の合成を調節する機構は分子レベルではまだ完全に解明されていない。C Correたちは今回、X線結晶学とクライオ電子顕微鏡法を組み合わせて用い、メチロマイシン遺伝子クラスターの転写リプレッサーであるMmfRが、細菌ホルモンAHFCAとの相互作用を介して機能し、これがDNAの放出とその後の遺伝子発現につながる機構の基盤を明らかにしている。構造から得られた一連の手掛かりは、変異誘発と生化学的なアッセイを用いて確認され、関与する個々のアミノ酸残基とホルモン官能基が特定された。今回のような分子レベルの手掛かりは、利用可能な抗生物質を増やすための合成生物学的ツールの開発に役立つと期待される。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03195-x

7

抗エボラウイルス抗体レベルの増減

Nature 590 2021年2月18日

G Pollakisたちは今回、エボラウイルス感染から回復し、退院前にウイルス血症が見られないことを確認した人からなるコホートにおいて、エボラウイルスに対する長期的な抗体応答を、30〜500日にわたって調べている。このような人々の42.6%では、ウイルス中和抗体のレベルが低下して、その後上昇するパターンが見られたことから、免疫特権部位でのウイルス複製の再発により、抗体応答が増強されていたことが示唆された。著者たちは、ウイルスの潜伏が、これまでに予測されていたよりも高頻度で起こっている可能性があること、そしてエボラウイルス感染の生存者の継続的な監視が必要であることを示唆している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-03044-3

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03146-y

8

全ゲノム倍加はがん細胞の脆弱性となる

Nature 590 2021年2月18日

がん細胞では、形質転換の過程で全ゲノム倍加(WGD)が起こることが多く、これによって腫瘍は増殖に有利になると考えられている。今回N Ganemたちは、WGD腫瘍、WGD+腫瘍、がん細胞株を比較し、倍数性の増加に関連する潜在的な脆弱性を明らかにしている。WGD+細胞は、適切な細胞分裂を行うために、DNA複製と紡錘体形成因子への依存度が大きいことが分かった。WGD+細胞でこれらの因子の1つであるKIF18Aを欠失させると、有糸分裂の忠実度が低下し、細胞死につながった。KIF18Aは二倍体細胞には必須ではないが、倍数性の高い細胞では有糸分裂紡錘体を適切に形成するために必要であり、KIF18Aが存在しないと遅延染色体を生じ、脆弱な微小核が増加する。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03133-3

9

NSDヒストンメチルトランスフェラーゼの構造と機能

Nature 590 2021年2月18日

ヒストンメチルトランスフェラーゼのNSDファミリーは発がんに関与するとされており、ヒストンH3のリシン36(H3K36)をジメチル化する。今回Z Wangたちは、モノヌクレオソームに結合したNSD2とNSD3のクライオ電子顕微鏡構造を決定している。NSD2またはNSD3の結合により、ヌクレオソームのリンカー領域近傍のDNAがほどけることから、H3K36に対するこれらの酵素の特異性が構造から説明される。著者たちは、NSD2とNSD3に生じるがんに関係する変異の影響を調べ、このような変異が触媒活性を高め、がん細胞増殖を促進するのにつながることを見いだした。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00002-5

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03069-8

10

肺がんのドライバー遺伝子

Nature 590 2021年2月18日

肺扁平上皮がん(LUSC)では染色体の8p11–12領域が増幅していることが多く、そこにはFGFR1をコードする遺伝子とヒストンH3K36メチルトランスフェラーゼであるNSD3をコードする遺伝子が含まれている。今回O Gozaniたちは、NSD3がLUSCの重要な発がんドライバーであり、NSD3の活性上昇が発がん促進遺伝子の発現を促進することを明らかにしている。NSD3の調節下にあるLUSCのマウスモデルは、活発な転写を標的とするBET阻害剤に感受性を示す。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00002-5

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03170-y

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