The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

2つの静穏な銀河からのX線爆発

Nature 592 2021年4月29日

数時間ごとに繰り返すX線バーストである準周期的爆発は、これまで2つの銀河でしか観測されておらず、1つは偶然観測され、もう1つはアーカイブデータから見つかった。今回R Arcodiaたちは、X線放射のブラインド半天探査において、準周期的爆発の事例をさらに2つ発見している。可視光データには、活動銀河核の活動を示す証拠は見られなかった。著者たちはこの周期性が、銀河の中心部にある超大質量ブラックホールを軌道運動しているコンパクト天体に起因すると示唆している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03394-6

2

ゼロ酸化状態のマグネシウム

Nature 592 2021年4月29日

sブロック金属は、電気陰性度が低いため極めて酸化されやすい。従って、こうした元素をゼロ酸化状態で単離することは、手ごわい合成課題である。今回S Harderたちは、Mg(0)含有有機金属錯体の初めての例を報告している。この化合物は、直線状の三原子Mg–Mg–Mg核がβ-ジケチミネート配位子によって安定化されたもので、中央のMg原子がゼロ酸化状態となっている。この化合物は、その注目すべき構造に加えて、強い還元性を示すため、豊かな化学反応性が期待され、さらなる研究が必要である。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-01014-x

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03401-w

3

海水準上昇に見られる氷河融解の大きな痕跡

Nature 592 2021年4月29日

氷床の質量損失とそれに伴う海水準上昇の推定には、数多くの手法が用いられている。しかし、こうした手法の多くは氷河のモニタリングには適していない。今回R Hugonnetたちは、2000〜2019年の地球上の全ての氷河の標高変化を記録した膨大なデータを評価している。得られた標高変化から、氷河の質量損失が1年当たり267 ± 16ギガトンであると算出された。これによって、観測された海水準上昇の約4分の1が説明される。質量損失速度には大きな地域差があるものの、全体的には1年当たり約50ギガトン加速していることが見いだされた。重要なのは、この取り組みによって、氷河の質量損失に関わる不確かさが大きく低減したことである。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03436-z

4

クラトンのキールが侵食されプリュームによって再クラトン化される過程

Nature 592 2021年4月29日

太古のクラトンのマントルの根は、地球の大陸の長期にわたって安定した特徴としてよく知られているが、時間をかけて崩壊したことを示す証拠も存在している。今回J Liuたちは、約13億年前のマッケンジー大規模火成事象の影響を受けた領域を含む、カナダ北極域のクラトンリソスフェアの横断部全体におけるマントル捕獲岩と地震学的特徴を用いて、この過程を調べている。彼らは、スレーブクラトン北部の厚いクラトンリソスフェアマントルの崩壊と再クラトン化の両方に、主要なプリューム上昇が役割を果たした証拠を示している。著者たちはまた、数値モデルを用いて、マッケンジープリューム事象によって生成された浮力のある新しいメルト残渣が、2つの厚いクラトン塊の間の薄くなったリソスフェアによって形成された「トラップ」にどのようにして捕獲されたかを立証している。今回の結果は、クラトンの根が大規模に崩壊した後に、クラトンがどのように回復して元のリソスフェアに近い厚さになるかを示している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-01087-8

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03395-5

5

カモノハシとハリモグラの進化遺伝学

Nature 592 2021年4月29日

単孔類(卵生哺乳類)は極めて古い哺乳類群である。現生種はカモノハシ1種とハリモグラ4種のみで、これらは全てオーストラレーシアに生息している。今回G Zhangたちは、カモノハシの大幅に改良された新たなゲノムアセンブリと、ハリモグラのゲノムを報告している。これらのゲノムから得られた知見によって、特異な動物である単孔類の生物学的特性に加え、哺乳類の性染色体の進化および哺乳類全般の生物学的特性に光が当てられた。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03039-0

6

肝臓でのインスリン感受性の時間を計る

Nature 592 2021年4月29日

体内のインスリン感受性は、覚醒時をピークとする日周リズムに従うことが知られている。しかし、この日周期の基礎となる分子機構についてはよく分かっていない。Z Sunたちは今回、視交叉上核の抑制性ニューロンに存在する核内受容体REV-ERBが、摂食や移動運動行動には影響を及ぼさずに、肝臓のインスリン感受性の日周変化を駆動していることを示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03358-w

7

オーキシンをリアルタイムで検出する

Nature 592 2021年4月29日

植物ホルモンのオーキシンは、植物の一生のほぼ全ての局面で重要な役割を果たしているが、細胞レベルでのオーキシンの空間的・時間的分布は間接的にしか決定できないため、一過性の変化は見逃されてしまう。G Jürgensたちは今回、植物の一生にわたってオーキシン分布を定量的に可視化できる、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を利用した遺伝子コード型センサーを作製した。このセンサーは、個々の細胞や細胞区画内のオーキシンの急速な取り込みや除去に対する直接的なリアルタイムでの監視を可能にする。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03425-2

8

NLRP1活性化の調節

Nature 592 2021年4月29日

最近の研究によって、炭疽菌(Bacillus anthracis)の致死因子や赤痢菌(Shigella flexneri)のIpaHによる炎症メディエーターNLRP1の活性化の特徴が明らかにされ、この活性化には、自己切断されたNLRP1のN末端部分のプロテアソームによる分解が必要であることが示された。ジペプチジルペプチダーゼDPP9とその関連酵素であるDPP8は、いずれもNLRP1と相互作用し、静止細胞ではこれらの相互作用がNLRP1の自発的な活性化を抑制している。DPP8/DPP9がNLRP1の活性化を抑制する仕組みは分かっていない。J Chaiたちは今回、構造解析と関連する変異データに基づき、DPP9が2つのNLRP1分子(全長型とC末端型)に非対称な様式で結合することで切断型NLRP1のオリゴマー化を防いでおり、この結合がなければ自発的にオリゴマー化して、インフラマソームの制御されない活性化につながることを示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03320-w

9

NLRP1インフラマソームの活性化機構

Nature 592 2021年4月29日

炭疽菌(Bacillus anthracis)の致死因子や赤痢菌(Shigella flexneri)のIpaHによって重要な炎症イニシエーターであるNLRP1が活性化されるには、自己切断されたNLRP1のN末端部分のプロテアソームによる分解が必要である。H WuとL Hollingsworthたちは今回、NLRP1の調節機構を解明するために、構造解析を使ってNLRP1とその内因性阻害因子であるDPP9との関係について調べた。著者たちは、DPP9が「爆発物処理係」として働き、(例えば恒常性が維持されている際の)NLRP1のC末端部分の低レベルの生成とカスパーゼ-1の活性化を抑制していると提案している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03350-4

10

CO2レベルが高い条件ではTCA回路が逆回転する

Nature 592 2021年4月29日

最近、嫌気性細菌においてトリカルボン酸(TCA)回路が逆回転で機能し得ることが示された。L Steffensたちは今回、好熱性硫黄還元デルタプロテオバクテリアHippea maritimaにおいて、CO2分圧がこの経路の活性に及ぼす影響を調べている。CO2分圧が高いと、H. maritimaは逆回転型TCA回路を使用できるようになることが分かった。これはおそらく、CO2分圧が低い条件では、ピルビン酸シンターゼ反応(アセチルCoAからピルビン酸への還元的カルボキシル化を触媒する)が熱力学的に不利になるためと考えられる。著者たちは、逆回転型TCA回路は、CO2が豊富だった原始大気において機能していた太古のCO2固定経路ではないかと推測している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00977-1

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03456-9

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