The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

火星における湖の洪水

Nature 597 2021年9月30日

初期の火星では、表層水が河谷を浸食し、湖水盆地を満たしていたと考えられている。これまで、火星の渓谷系は主に段階的な河食を記録していると考えられてきた。今回T Goudgeたちは、全球規模では、湖の決壊による洪水が、初期の火星の切り込まれた渓谷の体積の24%を急速に浸食したことを明らかにしている。得られた知見は、湖の決壊による洪水が、初期の火星において渓谷の切り込みの原因となった主要な地形形成過程であり、これが次いで、火星のより幅広い景観の地形に影響を及ぼしたことを示唆している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03860-1

2

2Dウィグナー結晶の画像化

Nature 597 2021年9月30日

結晶固体中の価電子は、気体、液体、固体のように振る舞うことができる。ウィグナー結晶と呼ばれる電子の固体状態は検出が困難で、これまで結晶化の間接的な証拠しか報告されていなかった。今回F Wangたちは、特別に設計された非侵襲走査型トンネル顕微鏡を用い、モアレヘテロ構造において2Dウィグナー結晶を直接画像化している。彼らは、電荷キャリア密度を調整することによって、さまざまなウィグナー結晶構造を画像化した。今回の結果は、ウィグナー結晶のより深い理解を可能にするとともに、実験プローブによる乱れを最小限にして表面や2D物質を画像化する新しい手法を提示するものである。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-02573-9

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03874-9

3

層間回転したファンデルワールス膜における異方性熱伝導体

Nature 597 2021年9月30日

異方性熱伝導体は、断熱と効率的熱伝導を異なる方向に沿って同時に実現するという、方向性のある熱輸送を可能にする。熱流を方向付ける能力は、集積回路においてホットスポットを除去するとともに、熱に敏感な部品を熱源から保護できるため、温度管理技術に不可欠である。今回J Parkたちは、ランダムに層間回転した大面積ファンデルワールス薄膜に基づく極めて異方性の高い熱伝導体を報告している。この熱伝導体では、層間回転によって面に垂直な熱輸送が妨げられる一方で、長距離層内結晶性によって高い面内熱伝導率が維持される。今回の結果は、結晶性層状材料における層間回転を、固体系における工学的に方向付けられた熱輸送の新たな自由度として確立するものである。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-02572-w

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03867-8

4

降水量の準リアルタイム予測

Nature 597 2021年9月30日

降水量の予測には、さまざまな時間スケールの多くの方法がある。しかし、直近の未来、すなわち正確な予測が特に重要となる期間の予測は、まだ困難である。今回S Mohamedたちは、レーダー観測の結果を入力とする深層生成モデルを用いて、現実の系の重要な空間的細部の多くを保持する巧みな予測方法を生み出している。人間の気象予報士による評価に基づくと、この新たな系は既存の方法を超える重要な利点をもたらす。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03854-z

5

植物と花粉媒介者の相互作用は希少種に有利に働く

Nature 597 2021年9月30日

多様な群集の維持では、希少種に有利に働く機構がカギとなる。植物と花粉媒介者の相互作用は、地球の生物多様性を高める極めて重要な原動力と考えられている。しかし、そうした相互作用が希少植物種の維持にどのように寄与するかについてはいまだ明らかにされていない。今回N Weiたちは、米国カリフォルニア州の蛇紋岩池(serpentine seep)の草原/低木林系において、開花期の植物と花粉媒介者の相互作用を2年連続で観察した。その結果、1種類の植物が相互作用する花粉媒介者の数は1〜77種と、植物種によって花粉媒介者のニッチ幅に著しい変動が見られることが分かった。また、希少な種は、個体数の多い種と比べてより専門化していた。適応度を探るため、同時に開花する種の柱頭に付着した310万個の花粉粒を分類学的に同定したところ、スペシャリスト植物はジェネラリスト植物と比べて、より多くの同種花粉送達と、同種花粉の誤配や異種花粉の受け取りを介した適応度低下のリスクの低さによって利益を得ていることが分かった。複数の植物種が同じ花粉媒介者ニッチを共有する場合、より希少な種は個体数の多い種が誘引する花粉媒介者から利益を受け、単独で生育する場合よりも同種花粉の受け取りが多かった。一方、より個体数の多い種にはそのような利得はなかった。これらの知見から、植物と花粉媒介者の相互作用は、種が豊富で開花期の重なる群落では希少な種に有利に働いており、顕花植物の多様性の維持に寄与する可能性があることが示唆された。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-02375-z

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03890-9

6

ニューロンのサブタイプ出現の誘導

Nature 597 2021年9月30日

大脳皮質の介在ニューロンは、ニューロンサブタイプの中で最も多様なものの1つだが、非常に限定された前駆細胞プールから生じて、その後分化して特異的な性質を示すようになる。共通の起源を持つにもかかわらず、このように異なる最終状態を駆動する分子プログラムはまだ探索の途上にある。今回G Fishellたちは、そうした転写プログラムを突き止め、クロマチン接近可能性の変化が、共通の前駆細胞から近縁の介在ニューロンサブタイプが分岐する時期を特定することを明らかにしている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03933-1

7

ニューヨークでのSARS-CoV-2変異株の追跡

Nature 597 2021年9月30日

今回D Hoたちは、2021年初頭の米国ニューヨーク市において、E484K変異を持つ重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の変異株であるB.1.526系統の出現と拡大を追跡した。その特性解析から、この変異株の抗体に対する耐性と伝播動態が明らかになった。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03908-2

8

膵臓の正常な恒常性から腫瘍発生へ

Nature 597 2021年9月30日

腫瘍形成の初期段階は非常に興味深い。膵臓では正常な恒常性が維持されている間、組織はクローン増殖によって再生することができる。一部の細胞が発がん性変異を獲得すると、この過程に異常が生じ、前がん病変の形成につながる場合がある。S Artandiたちは今回、テロメラーゼ逆転写酵素を高レベルで発現するまれな腺房細胞の細胞系譜追跡を行い、このような病変の起源について新たな手掛かりを得ている。これらの細胞は正常な恒常性に関与しているが、Kras変異を維持している場合には、異常な膵管への分化転換や新生物形成を起こす。またこれらの細胞は、MAPKシグナル伝達の増幅を伴うヒト膵臓がんで頻繁に見られる。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-02435-4

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03916-2

9

CRISPRエフェクターの進化を追跡する

Nature 597 2021年9月30日

O Abudayyehたちは今回、Cas7-11の特性解析を行い、Cas7-11はRNAにプログラムされた、RNAを標的とする単一タンパク質エフェクターヌクレアーゼであり、III型CRISPRの多サブユニットエフェクター複合体のサブユニット融合によって進化したことを明らかにしている。この単一タンパク質エフェクターはcrRNAプロセシング活性を併せ持っていて、哺乳類細胞においてプログラムされたRNA編集に用いることができる。多タンパク質系からの単一タンパク質エフェクターの進化を追跡することで、機能ドメインの統合と獲得の並行ルートが明らかになり、これによってCRISPR系の間の流動的な経路と単一タンパク質エフェクター系の多様性が非常に高い可能性が明らかになった。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03886-5

10

腫瘍抑制における相分離

Nature 597 2021年9月30日

生物学で相分離が担う生理的役割の範囲は次第に広がりつつある。今回H Jiangたちは、よく知られているX連鎖腫瘍抑制因子でヒストンデメチラーゼでもあるUTXが相分離を起こす仕組みを明らかにし、これがUTXの機能に不可欠なことを示している。UTX凝縮体の中にはヒストンメチルトランスフェラーゼMLL4(別名KMT2D)も見つかり、別々の区画内でこの2つの活性が共に高まっていた。Y染色体上の類似タンパク質UTYはより強い相分離を起こすが、腫瘍抑制活性は低い。これはおそらく、UTY凝縮体中ではタンパク質の運動性が低いからだろう。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-02365-1

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03903-7

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