免疫学:Fam72aは抗体多様化の際に誤りが起こりやすいDNA修復を強化する
Nature 600, 7888 doi: 10.1038/s41586-021-04093-y
効率的な体液性免疫応答は、DNA損傷や変異誘発、誤りが起こりやすいDNA修復に依存している。体細胞高頻度変異とクラススイッチ組換えを介したB細胞受容体の多様化は、活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)を介したDNA中シチジンの脱アミノ化により開始され、その結果として生じたウラシルが、次いでウラシルDNAグリコシラーぜ(UNG)とミスマッチ修復タンパク質により切除される。DNA内に生じたウラシルは正確に修復されるが、体細胞高頻度変異とクラススイッチ組換えという状況下で、これらの経路が変異と二本鎖DNA切断を生成するために採用される仕組みについては分かっていない。今回我々は、クラススイッチ組換えに関与する遺伝子についてゲノム規模CRISPR–Cas9ノックアウトスクリーニングを行い、FAM72Aを見つけ出した。FAM72Aは、UNGの核内アイソフォーム(UNG2)と相互作用し、いくつかのがんで過剰発現しているタンパク質である。我々は、FAM72A–UNG2相互作用がUNG2のレベルを制御しており、Fam72a−/− B細胞ではUNG2の発現量が増えるために、クラススイッチ組換えに欠陥が生じることを明らかにする。さらに、Fam72a−/− B細胞では体細胞高頻度変異が減少しており、UNG2の発現量を増加させるとそのパターンがゆがめられることを示す。我々の結果は、FAM72AがUNG2と相互作用し、UNG2の分解を引き起こすことでその生理学的レベルを制御しており、ウラシル切除のレベルを調節して、誤りが起こりやすいDNA修復と誤りのないDNA修復の間のバランスを調節するというモデルと一致している。Fam72aの過剰発現によってUNG2レベルを低下させると、バランスが変異誘発性のDNA修復に傾き、細胞が変異を獲得しやすくなるため、今回の知見は、腫瘍発生に関わってくる可能性がある。

