Nature ハイライト

神経変性:パーキンソン病誘発についての示唆に富む証拠

Nature 571, 7766

PINK1遺伝子やPRKN遺伝子(Parkinをコードする)の変異は、若年性のパーキンソン病(PD;ドーパミン作動性ニューロンの喪失による運動症状を伴う神経変性疾患)と関連付けられている。PINK1とParkinは、ミトコンドリアの抗原提示を抑制することが示されており、このため、PINK1PRKNの変異は自己免疫を引き起こす可能性がある。M Desjardinsたちは今回、Pink1を欠失したマウスでは、腸内のグラム陰性細菌の感染が実際にミトコンドリア抗原提示を引き起こし、末梢と脳を巡回するミトコンドリア特異的な細胞傷害性CD8+ T細胞を生み出すが、正常なマウスではそうした影響は見られないことを示している。意外にも、Pink1を欠失した感染マウスでは、一過性でl-DOPAにより回復し得る運動障害が見られ、ドーパミン作動性軸索のバリコシティー密度の低下が同時に起こっていた。これらの知見は、PINK1が自己免疫の抑制因子であることを示唆しており、PDについての新しい考え方を提供する。

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