Nature ハイライト

化学:前生物的ペプチドの妥当な合成経路

Nature 571, 7766

前生物的なものとして妥当な出発物質からペプチドを形成することで、単純な有機物構成要素と高次の生物学的機能が関連付けられる。アミノ酸からのペプチド合成経路がいくつか提案されているが、それらの基質許容性や収率には制限がある。今回M Pownerたちは、水中でα-アミノニトリルのライゲーションを通してペプチド形成が起こることを見いだしている。このペプチド形成では、生物において観察されるものと同様に、タンパク質を構成する全てのアミノ酸残基を許容し、ライゲーションはNからCの方向に起こる。このライゲーションにはチオエステルが関与することから、初期地球での複雑化合物の構築には、クエン酸回路や非リボソームペプチド合成に見られるように硫黄が重要な役割を果たしたことが示唆される。

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