Nature ハイライト

進化学:ポリプテルス類の起源を紐解く

Nature 549, 7671

2億5000万年前の化石魚<i>Fukangichthys longidorsalis</i>の頭蓋骨(左)とそのバーチャルモデル(中央)、そして全身の再現図(右)。
2億5000万年前の化石魚Fukangichthys longidorsalisの頭蓋骨(左)とそのバーチャルモデル(中央)、そして全身の再現図(右)。 | 拡大する

Credit: Andrey Atuchin

ポリプテルス科の魚類(ポリプテルスおよびアミメウナギ)は、極めて原始的な魚類の生き残りであり、現在はアフリカの淡水環境にのみ生息している。肉鰭や肺、厚い鱗を併せ持つことから、ポリプテルス類はデボン紀の肉鰭類、さらには両生類とさえ関連付けられることもあったが、現在は他の全ての条鰭類魚類の現生姉妹群とする説が広く受け入れられている。しかし、硬い鱗に覆われているにもかかわらず、ポリプテルス類の化石記録は疑わしいほどに不足している。わずかに存在する化石記録がさかのぼれるのは白亜紀までで、クラウン群条鰭類が進化したと考えられているデボン紀との間には非常に長いゴースト系統が残されている。ポリプテルス類はまた、三畳紀の原始的な条鰭類であるスカニレピス型類(Scanilepiformes)とも比較されたことがあるが、その類似性は表面的なものでしかなかった。今回、スカニレピス型類の1種であるFukangichthysの化石標本をコンピューター断層撮影法で解析し、さまざまな近縁種と比較した結果、ポリプテルス類が実際にスカニレピス型類に属することが明らかになった。こうした条鰭類の系統樹の書き換えによって、ポリプテルス類の起源はデボン紀から三畳紀へと一気に押し上げられ、さらには、クラウン群条鰭類の進化もデボン紀ではなく石炭紀というより新しい年代に起きたことが示唆された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度