Nature ハイライト

神経科学:齧歯類における網膜再生

Nature 548, 7665

魚類、鳥類、爬虫類は、損傷後に機能的な網膜ニューロンを再生する能力を維持しているが、哺乳類成体ではこのような形の再生は起こらない。ヒトは、網膜の疾患や損傷による失明が関与するかなりの数の病気に罹患する可能性があるため、哺乳類成体にはなぜこのような再生能がないのかを理解することは重要である。今回T Rehたちは、これまでに魚類で網膜ニューロンの再生を増強することが知られている転写因子Ascl1を、齧歯類のミュラーグリア細胞に発現させた。Ascl1は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の抑制と組み合わせた場合にのみ、成体マウスで新しい網膜ニューロンの機能的産生を引き起こすことができた。HDAC阻害剤によってAscl1がミュラーグリアの主要な遺伝子座に結合できるようになることで、これらの細胞の網膜ニューロンへの再プログラム化が可能になる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度