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人類移動:気候に駆動された人類の移動

Nature 538, 7623

今回の数値モデルによるシミュレーションで得られた、今から8万年前の人口密度分布。
今回の数値モデルによるシミュレーションで得られた、今から8万年前の人口密度分布。 | 拡大する

Credit: Tobias Friedrich

ホモ・サピエンス(Homo sapiens)が、アフリカで進化を遂げた後に、アフリカを出て他の地域へと分散した時期は議論の種となってきた。今回、A TimmermannおよびT Friedrichは、過去12万5000年にわたる気候および海水準の大規模な変化の影響を加味して、初期人類の分散をモデル化した。その結果、アラビア半島およびレバント地方を経由する分散が、1回の事象ではなく、10万6000~2万9000年前に4回の波に分かれて起きていたことが示唆された。今回の結果は考古学的データとも符合しており、軌道変化の時間スケールでの全球的な気候変動が人口の移動に重要な役割を果たしたのに対し、1000年スケールでの急激な気候変動の影響はより局地的なものに限られていたことを示している。

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