Nature ハイライト

宇宙物理学:赤い間欠泉が決める星形成の上限

Nature 533, 7604

E Cheungたちが、これまで認識されていなかった種類の銀河を報告し、「赤い間欠泉(red geyser)」と名付けている。その典型例である「Akira」は、静穏で「赤色の死んだ」楕円銀河であり、電離した風を吹き出している。星形成が現在ほとんどあるいは全く起きていない静穏銀河はよく見られるものであり、その特徴のない楕円体構造は、渦巻き銀河に見られるようなもっと変化に富んだ星形成構造とは対照的である。星の質量放出あるいは合体に由来するガスは、何かしらの未知の機構によって除去あるいは加熱されているはずであり、そうでなければ冷えて星を形成するだろう。今回著者たちは、輝度の低い活動銀河核を持つ典型的な静穏銀河には、銀河の中心に向かう風が存在することを報告している。こうした銀河は意外に一般的で、質量が太陽の200億倍以上の銀河の約10%を占めている。彼らは、Akiraについて、エネルギー入力が星形成を抑制するには十分であると算出しており、典型的な静穏銀河がその静穏さをどのように維持しているかが、こうした赤い間欠泉によって説明される可能性があると示唆している。

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