Nature ハイライト

Cover Story:失敗から学ぶ:機械学習アルゴリズムを使って、公表されず「日の目を見なかった」反応を掘り返し、成功の可能性の高い合成法を予測する

Nature 533, 7601

多数の化学反応が、論文中の方法(method)のセクションに登場しないままになってしまうのは、「成功していない」と見なされたためである。しかし、そうした反応であっても、生成物の形成に必要な反応条件の範囲に限ってみれば、貴重な情報をもたらす。A Norquistたちは今回、そうした「日の目を見なかった」一群の反応、具体的には鋳型法による亜セレン酸バナジウムの形成に関するものを実験ノートから引っ張り出し、データの質を化学情報や特性によって向上させ、次にこの「日の目を見なかった」反応のデータセットで学習した機械学習アルゴリズムを使って、反応結果を予測した。使われたアルゴリズムは、人間の直観的判断よりもずっと正確に、反応が成功するか失敗するかを予測できた。今回の研究結果は、失敗した合成反応をもっと広く知ってもらうことの価値と、機械学習を用いて従来の方法よりも速く合成ルート候補に到達できる可能性を実証している。

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