Nature ハイライト

構造生物学:レナリドミドはがんタンパク質を分解の標的にする

Nature 532, 7597

サリドマイドの誘導体であるレナリドミドは強力な抗がん剤で、多発性骨髄腫などの血液系腫瘍の治療に広く使われている。レナリドミドは、CRL4CRBN E3ユビキチンリガーゼの構成成分であるCRBNに結合することで作用し、このリガーゼの内在性基質のユビキチン化を阻害するか、もしくはこのリガーゼを新しい基質タンパク質に結合させて、それをタンパク質分解の標的にさせる。今回N Thomäたちが報告している構造データによって、レナリドミドやそれと同類の化合物がCRL4CRBNの基質特異性を変化させる仕組みが明らかになった。CRBNとレナリドミドが共同してがんに関連する基質(ここではキナーゼのCK1α)が結合する界面を形成することが分かった。リンパ球転写因子Ikarosの結合表面も、同じようにして形成されるらしい。小型分子である薬剤がタンパク質同士の結合を促進する仕組みが明らかにされたことは、タンパク質分解に影響を及ぼす、また別の薬剤の開発に役立つかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度