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構造生物学:レナリドミドにより誘発され、CRL4CRBNユビキチンリガーゼによって起こるCK1α分解の構造基盤

Nature 532, 7597 doi: 10.1038/nature16979

サリドマイドとその誘導体であるレナリドミドやポマリドミドは、免疫調節薬(IMiD)で血液系腫瘍の治療に用いられる。IMiDは、CUL4–RBX1–DDB1–CRBN E3ユビキチンリガーゼ(別名CRL4CRBN E3ユビキチンリガーゼ)の基質受容体であるCRBNに結合して、内在性のCRL4CRBN基質のユビキチン化を阻害する。意外にも、IMiDはこのリガーゼの標的をすり変えて、新しいタンパク質を標的として分解させる。レナリドミドは、リンパ球の転写因子Ikaros(別名IKZF1)とAiolos(別名IKZF3)、およびカゼインキナーゼ1α(CK1α)の分解を引き起こし、この分解によってIkarosとAiolosの場合は多発性骨髄腫で、CK1αの場合は5q欠失を伴う骨髄異形成症候群(del(5q) MDS)の治療で効果を発揮する。しかし、レナリドミドがE3リガーゼの特異性を変更させ、これらのタンパク質を分解させる仕組みはまだ解明されていない。今回我々は、レナリドミドとCK1αとに結合したDDB1–CRBNの分解能2.45 Åでの結晶構造を報告する。CRBNとレナリドミドが共同して形成する界面が、CK1αのN末端ローブにあるβヘアピンループとの結合面となる。CRL4CRBNへのCK1αの結合は、IMiDの存在に完全に依存していることが分かった。同様に、IKZF1のCRBNへの結合にもIMiDが必要とされ、IKZF1とCK1αは両方とも同じような結合様式を用いている。これらの知見により、del(5q) MDSの治療にレナリドミドが選択的効果を発揮する機序が説明できる。小型分子によってタンパク質同士の間に高親和性の結合を形成させることは、薬剤開発、特に標的タンパク質を分解する薬剤を開発するための機会を増やすと考えられる。

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