Nature ハイライト

気候科学:全球の気候システムに対する中国の影響

Nature 531, 7594

気候システムに及ぼす中国の影響が大きくなっているのは、その急速な産業化のためであると考えられることが多いが、変化の大きさの定量化は、依然として扱いにくく難しい。今回B Liたちは、生物地球化学モデルと大気モデルを一連の観測データセットと組み合わせて用い、地域ごとの見積もりとその不確かさを得ている。その結果、産業革命前の状況以降の放射強制力の全球増加量(本質的には、さらなる温暖化)の約10%に中国が関与していることが見いだされた。二酸化炭素は中でも特に大きな温暖化要因ではあるが、メタンと黒色炭素も重要である。大気汚染の主たる原因物質である硫酸塩エアロゾルにはこれらと反対に作用する強い効果があるため、汚染を減らす取り組みの影響は、二酸化炭素の排出削減が同時に実行されないなら、放射強制力に対する中国の寄与を加速する可能性がある。

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