Nature ハイライト

遺伝:ニワトリゲノムの解読

Nature 432, 7018

鳥類では初めて、ニワトリゲノムの概要配列が解読され、今週号で詳しい分析結果が報告されている。この遺伝情報は、農業にとってだけでなく、進化生物学、発生生物学、分子生物学にも大いに役立つはずだ。 国際ニワトリゲノム配列決定コンソーシアムは、家禽のニワトリの原種であるセキショクヤケイ(赤色野鶏)Gallus gallusのゲノム約10億塩基対の配列を解読した。また2番目の論文では、家禽のニワトリ3系統とセキショクヤケイの一塩基多型を比較し、第3の論文では、ニワトリゲノムの物理地図を報告している。この物理地図は、セキショクヤケイのゲノム配列中のギャップを埋めるのに、また他の生物種との配列の比較にも役立つだろう。 ニワトリとヒトのDNA配列を比較することにより、ヒトゲノムの重要な部分を見つける助けになるだろう。ヒトと鳥類は約3億1,000万年前に共通の祖先から分かれた。今日ヒトと鳥類が共有するのは、どちらにとっても役に立つ重要なDNA配列だけと考えられている。また配列の比較は、羽毛や翼、産卵などにかかわる鳥類特有の遺伝子の同定にも役立つはずである。 ニワトリは、胚の成長のモデルとして、発生生物学で長い間利用されてきた。ニワトリのゲノム配列がわかれば、胚の初期発生を進める重要な遺伝子の特定がしやすくなるだろう。また農業に重要な遺伝子の同定にも役立つので、養鶏農家は、より生産性が高く病気に強い品種をつくり出せるかもしれない。

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