Nature ハイライト

生態:小さな生物の大きな空間パターン

Nature 432, 7018

比較的大きめの生物の局所や地域規模での分布については、過去何年にもわたり研究に力が注がれて相当量のことがわかってきた。しかし微生物群集全体については、空間構造をもたない、中身が見えない「ブラックボックス」だと決めつける傾向が専門家の間にはあった。今週号に掲載された2つの論文は、細菌や真核微生物が位置に依存するパターンに従うことを示している。これらの発見は、生態学者が微小生物の生物多様性を解明する新たな手だてとなりそうだ。 J Greenたちは、真核微生物が空間に分布するパターンの法則性を探るために、オーストラリアで1,500を超える土壌試料を採取した。そして、これらの生物は局所的には非常に高い多様性を示すものの、もっと広い地域規模では中程度の多様性しか示さない可能性があることを示唆している。この研究で、真核微生物の分布パターンがランダムでないことが明らかとなった。また、生態学者が地球全体の生物多様性を見積もる際、精度を上げるのにも役立ってくれそうである。 一方、C Horner-Devineたちのチームも同様の問題に取り組み、細菌に焦点を絞って調べた。そして、近くにある細菌群集同士は距離の離れた群集同士よりも類似度が高いことを見つけた。この知見は、ある範囲の場所に見られる生物種の数と面積との間に相関性があるとする説の大きな裏づけとなるものだ。

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