Nature ハイライト

細胞生物学:細胞分裂における核膜

Nature 522, 7555

核膜は動物細胞での細胞分裂の初期段階に崩壊するが、細胞分裂の後期が終わりに近づけば2つの娘細胞の核の周囲に核膜が再形成されなければならない。核膜が別の細胞小器官である小胞体に由来すること、また膜融合の過程を通じて閉じられることは知られているが、その融合の仕組みは部分的にしか解明されていない。今回、さまざまな細胞過程で膜のくびり切りや融合に関わることが最もよく知られているタンパク質複合体のESCRT-IIIが、核膜の融合を調節していることを、2つの研究グループが報告している。H Stenmarkたちは、ESCRT-IIIともう2種類のタンパク質、VPS4とspastinが協働して、膜融合と紡錘体の解体を協調させていること、またこの過程は2つの娘細胞を物理的に確実に切り離すようにする細胞質分裂と機構的に似ていることを明らかにした。一方、J Carltonたちは、ESCRT-IIIの構成要素であるCHMP2Aが形成中の核膜へと移動してCHMP4Bと結合し、p97複合体の成分で核膜融合に関わることがすでに知られているUFD1にも助けられて、融合部位に局在するようになることを見いだした。

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