Nature ハイライト

古生物学:魚竜の祖先に当たる水陸両生爬虫類か?

Nature 517, 7535

中国安徽省巣湖の下部三畳系で見つかった基部系統ichthyosauriform、<i>Cartorhynchus lenticarpus</i>の化石。
中国安徽省巣湖の下部三畳系で見つかった基部系統ichthyosauriform、Cartorhynchus lenticarpusの化石。 | 拡大する

Credit: Dr. Ryosuke Motani took the photo and created this image, the specimen is deposited in the Anhui Geological Museum.

魚竜類は完全水生の爬虫類であり、その四肢は鰭状足となり、体型は現生イルカ類のような流線型の外形に収斂していた。出現したのは三畳紀であり、白亜紀末に恐竜とともに絶滅した。不都合なことに、魚竜類の化石記録は、最も初期のものですら水生動物として完全に進化した姿を示しており、陸上から水中への移行に関する情報は何一つ得られていない。今回、藻谷亮介(米国カリフォルニア大学デービス校)たちによって、この問題を解く手掛かりになり得る新たな化石が、中国南部の下部三畳系で発見された。この新種は、極めて小型の原始的な魚竜様爬虫類で、水陸両生だった可能性があり、魚竜類と謎に包まれたHupehsuchia(中国南部でしか見つかっていない絶滅水生爬虫類の一群)との共通祖先に近縁である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度