Nature ハイライト

世界物理年2005:世にも恐ろしい殺人事件

Nature 433, 7023

世界的に有名な物理学者であるルーファス・イエーガーは、学会の聴衆を前に量子に関する実験をやって見せている時に身の毛もよだつような事故で命を落とした。しかし、これは本当に事故だったのだろうか。聴衆のなかにはイエーガーと関係の深い8人がふくまれており、彼らにはそれぞれ隠すべき事情がある。この謎を解こうとするのが、何を考えているのかさっぱり解らない刑事カール・リスターである。イエーガーの研究室の主任技師であるトニー・トロットマンが実験装置に密かに細工を加えたのか。それともネイチャーの編集長であるナイジェル・ロリマーが、イエーガーのグループが投稿した大間違いの論文が一向に取り下げられないことに怒りをくすぶらせてきたあげくの凶行なのか。はたまた、研究上の競争相手であるヴェロニク・デュボアが、イエーガーが自分のアイデアを盗み成果を横取りするのを止めさせようとしたのか。リスターの捜査はとんでもない方向に迷い込むように見えるが、持ち前の鋭い頭脳で物理学に取り組み、ついに衝撃の真相に至ることになる。 世界物理年である今年、Natureでは今週から10回にわたって、さまざまな領域の物理学者やサイエンスライターが執筆する「殺人ミステリー」を連載する。今週号は、数学者Ian Stewartによるプロローグである。毎週厚みを増してゆくストーリーに御期待いただきたい。

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