Nature ハイライト

Cover Story:速く跳ね返るような形態を作る:対称性が破れた超疎水表面は接触時間を最短にする

Nature 503, 7476

チョウの翅の表面で跳ね返る水滴。
チョウの翅の表面で跳ね返る水滴。 | 拡大する

Credit: Adam Paxson, Kyle Hounsell, Jim Bales, James Bird, Kripa Varanasi

表紙は、モルフォチョウの水を弾く翅に一滴の水が衝突する様子である。乾燥状態を維持する、自浄性がある、着氷を防止するといった機能を持つ疎水性表面には、さまざまな用途がある。そのような表面にぶつかった液滴は、いったん広がった後に元の形に戻ってから跳ね返る傾向がある。液滴と表面との接触時間を最短にすることは、多くの応用分野で有用である。一般に、衝突する液滴が対称的に変形する場合に接触時間は最短になると考えられている。今回、K Varanasiたちは、液滴の広がりと戻りが対称的にならないように、液滴質量を再分配する形態を持つ超疎水性表面の方が、液滴が速く跳ね返ることを明らかにしている。理論と実験結果から、今回の手法を使うと、跳ね返る液滴と表面との接触時間を、可能と考えられていた限界を超えて短くできることが確証された。

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