Nature ハイライト 薬学:薬物毒性の予測 2012年6月21日 Nature 486, 7403 薬物有害反応は、ほかの点では有効な薬物の臨床使用を制限することがあり、新薬開発が臨床試験の段階で失敗する主な原因となっている。薬物は2個以上のタンパク質標的と相互作用することが多く、また、そのようなタンパク質の多くが臨床で使用される治療薬の副作用に関連している。今回、コンピューターモデルを使った大規模な研究によって、薬物有害反応に関連している73個のタンパク質標的に対する656種類の薬物の活性が予測された。さらに、これらの予測のうちの1,042件が検証され、そのおよそ半分が確認された。予測の1つは、合成エストロゲンのクロロトリアニセンの既知の副作用の1つである腹痛が、この薬によるCOX-1阻害によって引き起こされるというもので、この阻害の臨床症状との関連がヒト全血の血小板凝集アッセイで確証された。この予測法は、失敗する可能性が非常に高い薬物を臨床試験に入る前に除外するのに使えるかもしれない。 2012年6月21日号の Nature ハイライト 物理:二重魔法核を持つスズのベータ崩壊 医学:乳がんに見られる遺伝子パターン 医学:アロマターゼ阻害剤に対する乳がんの反応性 薬学:薬物毒性の予測 宇宙:金属の少ない恒星を巡る太陽系外惑星 物性:鉄ニクタイドにおける多重転移 遺伝:DNAを脱メチル化から保護する 医学:H5N1ウイルスの伝播にかかわる因子 目次へ戻る