Nature ハイライト 脳:不安の遺伝因子 2010年8月12日 Nature 466, 7308 不安気質は、ヒトでもサルでも幼児期からみられ、その後に発症する精神疾患の重要なリスク因子であり、遺伝性があることが知られている。Olerたちは、画像化と遺伝解析を組み合わせた大規模な研究で、不安気質という形質に関連した神経回路と、その回路機能がどの程度の遺伝性をもつかを調べた。単一の血統に属する200頭以上のサルについて、軽度のストレス条件においた後、陽電子放射断層撮影を行った。すると、扁桃体と海馬の両方の活性化が不安気質の予兆となることがわかったが、海馬活動の遺伝性は扁桃体より大きかった。このことは、不安気質に関するこの2つの脳領域の機能に遺伝子と環境が異なる影響を及ぼす可能性を示唆しており、不安障害やうつの遺伝的リスクについての新たな手がかりが得られる。 2010年8月12日号の Nature ハイライト 細胞:2種類の細胞が作り出す幹細胞ニッチ 細胞:マイクロRNAはメッセンジャーを狙い撃つ 物理:磁気画像化 気候:雲をシミュレートする 地球:現在の始原的火山活動 行動進化学:懲罰の段取り 脳:不安の遺伝因子 医学:がんに関連する突然変異 生理:発生シグナルによる心臓電流のパターン化 細胞:微小管の対称性 目次へ戻る