Nature ハイライト

神経:ニューロン細胞危機一髪!

Nature 467, 7311

末梢神経系のニューロンが生き残るためには、細胞の増殖と成長を維持する天然の増殖因子である栄養因子が必要だ。中枢神経系のほとんどのニューロンはそのような助けがなくても生き残ることができる。なぜ末梢ニューロンは栄養因子がないとだめなのだろうか。Nikoletopoulouたちは、遺伝子操作した胚性幹細胞を用いて、成長中のニューロンでニューロトロフィン受容体TrkAとTrkCが「依存性受容体」として機能し、保護因子がない場合は細胞死を誘導することを明らかにしている。主に中枢神経系に発現する近縁の受容体TrkBには、そのような作用はない。このことから、末梢神経系と中枢神経系の分離に伴うTrk遺伝子ファミリーの拡大が、細胞数調節の機構を生み出したのではないかと考えられる。

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