Nature ハイライト

生物物理:生命のパターン

Nature 467, 7311

生命のパターン
生命のパターン | 拡大する

Credit: Volker Schaller, Christoph Weber, Christine Semmrich, Erwin Frey & Andreas R Bausch

自走する多くの構成要素からなる複雑系で起こるパターン形成は、広く存在する現象であり、鳥の群れや微生物のコロニー、生細胞の細胞骨格などさまざまな系でみられる。しかし、十分単純なモデルがないため、その機構の統一的説明はなかなか進展しなかった。しかし、今回、こういう単純モデルの候補が見つかった。この新しい実験系では、表面に固定されたモータータンパク質によって推進されるアクチンタンパク質フィラメントが使われている。フィラメントは、臨界密度を超えると自己集合して、クラスター、渦、相互連結したバンドなどのコヒーレントに運動する構造体が形成され、持続的に密度調節が行われる。実験観察とシミュレーションを組み合わせて、秩序構造の集合・組み立てや解離の基礎となるさまざまな機構が明らかになり、弱く局所的な整列相互作用がパターン形成に不可欠であることがわかった。この系は制御可能であり、より複雑な相互作用に拡張できる余地があるため、微視的相互作用から巨視的秩序が出現するのを調べるのに適していると考えられる。

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