Nature ハイライト

医学:競争力のある腸病原体

Nature 467, 7314

腸の病原体であるネズミチフス菌(Salmonella enterica serotype Typhimurium)は、最終電子受容体としてテトラチオン酸塩を利用可能である。このことは、ネズミチフス菌の培養液の質を高める手っ取り早い方法としてずっと用いられてきた。テトラチオン酸塩呼吸は、感染の際には全く重要ではないが、土壌や腐敗中の死骸のようなテトラチオン酸塩を含む環境下で増殖する自由生活細菌の場合に、その真価を発揮するのだろうと考えられてきた。今回、腸内感染の際にこの代謝経路が果たしていると考えられる役割が明らかになった。この菌の毒性因子によって引き起こされる急性腸炎では、免疫応答の一部として、腸内腔で酸素ラジカルが産生されることがわかった。この酸素ラジカルは、腸細胞による硫化水素無毒化の最終産物であるチオ硫酸塩をテトラチオン酸塩へと酸化する。そして、ネズミチフス菌は炎症を起こした腸内で増殖する際にはテトラチオン酸塩呼吸を使い、嫌気性発酵に依存する他の微生物に競り勝てるというわけだ。

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