Nature ハイライト

Cover Story:試験管の中の病気モデル:LEOPARD症候群の心筋症を再現するiPS細胞モデル

Nature 465, 7299

患者特異的iPS(誘導多能性幹)細胞は、遺伝性疾患のモデル化や、そうした病気の患者に対する新しい治療法の開発に重要であると考えられている。今回、皮膚病変、心臓異常および難聴を特徴とするまれな発達障害である「LEOPARD」症候群の患者から、核の再プログラム化によってiPS細胞株が作出された。この症候群の子どもでは90%に心肥大がみられるのだが、LEOPARD由来iPS細胞から生じた心筋細胞はこの疾患の特徴に類似した肥大特性をもっている。再プログラム化された細胞は、さまざまなシグナル伝達経路の要素に大きな変化がみられるという特徴を示し、心肥大との関連がこれまでにいくつか報告されているRAS–MAPKもその中に含まれている。これらの細胞株とロバストな分化プロトコルを組み合わせることで、疾患細胞表現型を回復させる化合物の同定が可能になるかもしれない。表紙は、LEOPARD症候群iPS細胞に由来する心筋トロポニンT陽性心筋細胞。(Letter p.808)。

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