Nature ハイライト

Cover Story:テープをはがす:粘着テープをはがすと摩擦ルミネセンスによりX線が発生する

Nature 455, 7216

摩擦ルミネセンスは接触し合う2つの表面が相互に動く際に、時折みられることがある光学現象である。日常的にみられる例としては、角砂糖やキャンディーをこすり合わせた際などが挙げられ、また、粘着テープの多くは表面から引きはがすときに閃光を発することがある。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の物理学研究者グループは、粘着テープの摩擦ルミネセンス特性の評価を行い、意外な結果を得た。真空中で粘着テープをはがしたときに解放されるエネルギーはX線領域にまで広がっているのが観測され、X線写真撮影に十分使えるほどの強度だったのである。表紙は、テープ(市販のスコッチテープを使用)をはがす際の発光をX線源として撮影した人間の指のX線写真で、背景は実験装置の一部。ここで起こるエネルギー集中過程は、関係するエネルギーと閃光幅の限界が現在の予測を超えているため、理論研究者にとって、興味ある難問となりそうだ(Letter p.1089, www.nature.com/podcast, www.nature.com/nature/videoarchive/x-rays)。

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