Nature ハイライト

量子情報科学:移動する記憶

Nature 455, 7216

量子計算にとって、情報を処理するものと記憶するものの間の情報転送は重要だが、これは厄介な問題でもある。古典系では、情報転送には複写段階があり、この段階で誤りを見いだし補正できるが、量子系では複写は基本的に不可能である。Mortonたちは、この問題を解決する可能性がある技術、すなわち電子スピンを処理する素子と核スピンを使った記憶素子との間の情報のコヒーレントな蓄積と読み出しという系を実証した。この系は28Si結晶中の31Pスピンドナーを使う。核スピンは記憶素子として作用し、電子スピンの全状態を1秒以上にわたって忠実に蓄積し、それから、これを約90%の効率で電子スピンへ戻すことができる。

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