Nature ハイライト

医学:HIVおよびエイズの昔と今

Nature 455, 7213

キンシャサ大学所蔵の組織標本を使って、エイズ出現前の時代にさかのぼるHIV遺伝子の塩基配列が得られた。1960年にベルギー領コンゴのレオポルドヴィル(現在のコンゴ民主共和国の首都キンシャサ)で成人女性から採取されたリンパ節生検検体「DRC60」によって、エイズ出現前の「化石HIV-1」の塩基配列に関する進化解析が初めて可能になった。これを同時代、すなわち1959年に同じくキンシャサで採取された血漿検体由来の別のHIV-1塩基配列と比較したのである。この解析で、西・中央アフリカでHIV-1の多様化が起こったのは、エイズの大流行が認められるずっと以前であるという考えが裏付けられた(Letter p.661, N&V p.605)。この試料採取の時期からほぼ50年が経った現在、HIVに関して疫学的に非常に懸念されているのは中国である。HIV-1感染は主に高リスク集団に限定されていたが、現在では一般集団に広がりつつある。L Luたちは、HIVの性感染が急激に増えている雲南省での流行封じ込め作戦について報告している(Feature p.609, Editorial p.566)。

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