Nature ハイライト

材料:不可視性を垣間見る

Nature 455, 7211

メタマテリアルは、例えば負の屈折率のような、天然材料では実現不可能な特性をもつように人工的に設計された構造体である。負の屈折率をもつメタマテリアル(NIM)が最初に実証されたのは、マイクロ波周波数に対してである。しかし、可視光のNIMが得られれば、画像化や指向性光源など、幅広い用途が開かれるだろう。これまでのところ、可視光向けのメタマテリアルは、事実上、二次元に相当する薄いものしか実証されていないので、デバイスへの応用は限られている。今回Valentineたちは、三次元の可視光向けメタマテリアルである多層のカスケード「網目」構造体(cascaded ‘fishnet’ structure)について報告している。この構造体は、幅広いスペクトル領域にわたって負屈折率をはっきりと示している。この材料で作製されたプリズムは、可視光で負の屈折を示しており、自由空間から容易に調べられるため、実用的な光学デバイス応用への道を開くものである。この論文の電子版発表時にメディアでもてはやされた「透明マント」でさえ、いつか実現されるかもしれない。

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