Nature ハイライト

細胞:多能性幹細胞をつなぐPluriNet

Nature 455, 7211

何百種類もの異なるヒト細胞系列が「幹細胞」という名でひとくくりにされている。こうした幹細胞には、胚由来のものや胎児由来のもの、成人由来のものがある。また、さまざまな種類の細胞を生じる多能性を備えたものもあれば、限られた種類の細胞しか生じないものもある。Müllerたちは、ヒト幹細胞の特性解析と分類を秩序立てて行うために、150以上の細胞標品から得た転写プロファイルのデータベースを基にして「幹細胞分類基準」の確立に取り組んだ。バイオインフォマティクス手法による解析の結果、多能性幹細胞系列は多くの性質を共有し、しかも、どの細胞系列も1つの特徴的なタンパク質ネットワークをもつことが明らかになった。このネットワークは「PluriNet」と名付けられた。脳由来の神経幹細胞系列をはじめとする他の細胞系列はもっと多様性が高い。これらの結果から幹細胞の新しい分類法が得られ、また、多能性と自己複製能が特異的な分子ネットワークによって厳密に制御されているという考えが裏付けられた。

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