Nature ハイライト

疫学:コレラの隠された真実

Nature 454, 7206

コレラの流行の際に軽微な感染がどのくらいあるのか、本当の値を見積もるのは難しい。症候性感染に対する無症候性感染の比率の推定値は、低いものでは3倍から高いものでは100倍と大きな幅がある。このことが疫学的記録の解釈を不確実なものとしてきたのだが、信頼性はこれまで考えられていた以上に低いようだ。50年間にベンガル地域で発生したコレラの死亡パターンについて新しく行われたモデル化研究で、無症候性対症候性の比率が、実際には1,000対1よりも大きいことが示されたのである。この研究によって、コレラの流行についての考え方と流行への対処方法が大きく変わる可能性がある。今回の研究は、感染症の動態における不顕性感染の重要性が、これまで概して過小評価されてきたことを示唆している。

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