Nature ハイライト

生理:なかなか決定できなかった構造

Nature 450, 7168

ホルモンや神経伝達物質の大半は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を介して作用する。したがって、多くの薬剤もこれと同じ作用機序をもつ。既知のGPCRの中で最も安定性の高いロドプシンを除くと、GPCRの構造データを得ることは難しい。今回、複数の研究グループが協力して、受容体の構造を安定させるためにインバースアゴニスト(逆作用薬)であるカラゾロールを用いるなど、さまざまな手法を組み合わせてヒトβ2ARアドレナリン受容体の結晶構造を決定し、Nature誌(今週号)とScience誌に発表した。ヒトβ2ARの構造は「暗状態にある」ロドプシンの構造とは著しく異なっており、これは、ほとんどのGPCRで回折実験に使用可能な程度の品質をもつ結晶の調製が非常に困難である理由を説明する助けとなりそうだ。

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