Nature ハイライト

Cover Story:異種皮質移植:マウスの大脳皮質をヒト幹細胞由来オルガノイドで置き換えて神経疾患をモデル化する

Nature 658, 8135

異種皮質マウスの脳。移植したヒト大脳皮質オルガノイドから伸びる神経繊維が、緑色と赤色で示されている。スケールバーは1 mm。
異種皮質マウスの脳。移植したヒト大脳皮質オルガノイドから伸びる神経繊維が、緑色と赤色で示されている。スケールバーは1 mm。 | 拡大する

S. Pasca lab, Stanford University

ヒトの脳がどのように発生・発達し、機能するかを研究することは難しい。その大きな理由の1つは、当然のことながら、生きたヒト脳組織へのアクセスが限られていることにある。ヒトの幹細胞から作られるモデルであるヒト脳オルガノイドは、生きた神経細胞を研究する手段を提供することで、その価値を示してきた。しかし、これらのモデルには依然として限界があり、一般に他の脳構造とは統合されておらず、神経回路レベルや行動面での影響について得られる知見も限られている。今週号ではS Pașcaたちが、こうした限界の一部を克服するために設計した実験モデルを報告している。研究チームは、大脳皮質と海馬の大部分を欠くマウスを作製する遺伝学的戦略を開発し、それによって生じた空間にヒト大脳皮質オルガノイドを移植して、「異種皮質マウス」を作製した。移植されたオルガノイドは大きく成長し、多様なヒト神経細胞タイプへと分化するとともに、宿主の脳と統合される神経回路を形成した。著者たちはまた、このモデルを用いて行動のいくつかの側面を評価し、神経系の損傷による影響を調べることもできた。彼らは、このモデルがヒトの神経発生・発達の研究や、神経疾患および精神疾患の研究、治療介入の研究にも役立つ可能性があるとしている。この研究は、広範な倫理的監督の下で行われたもので、研究チームは、この分野でこうしたモデルの科学的、医学的、社会的、倫理的な意味合いを検討するに当たり、適切な指針を策定することの重要性を強調している。

2026年10月8日号の Nature ハイライト

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