Nature ハイライト

天文学:彗星の強度

Nature 586, 7831

67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星におけるフィラエの最終着陸地。
67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星におけるフィラエの最終着陸地。 | 拡大する

Credit: Main image and lander inset: ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDA; context: ESA/Rosetta/NavCam – CC BY-SA IGO 3.0

67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を対象に行われたロゼッタ・ミッションのハイライトは、着陸機フィラエをこの彗星の表面に着地させることであった。このミッションは、この面では当初の計画通りに進まなかった(フィラエは着地の際に2回バウンドし、理想的ではない場所で静止した)が、それでもこの彗星表面の特徴について独自の知見をいくつももたらした。学ぶべきことはまだ残されており、L O’Rourkeたちが今回報告しているように、接地に関する一見無秩序な側面であっても、この彗星についての新たな情報を提供してくれるのである。彼らは、宇宙の探偵作業といった芸当で、バウンドした着陸機の軌跡を復元し、今まで分かっていなかった2回目の接地場所を画像で特定した。フィラエは偶然にも巨礫の間をかすめるように通過したと見られ、手付かずの始原氷に富む内部を露出させ、その精査を可能にした。さらに、フィラエが残した跡の形状から、巨礫の固有強度も算出できた。推定された非常に低い圧縮強度は、将来の彗星着陸機を計画する際の重要な制約条件となり、彗星自体の形成過程についてのいくつかの手掛かりも与えてくれる可能性がある。

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