Nature ハイライト

応用光学:究極のタッチスクリーンか

Nature 575, 7782

マルチモード音響トラップディスプレイ(MATD)で生成された、空中浮遊するチョウの像。
マルチモード音響トラップディスプレイ(MATD)で生成された、空中浮遊するチョウの像。 | 拡大する

Credit: Eimontas Jankauskis

生み出された像が実際の空間で物理的体積を占有しているように見えるボリューム(体積型)ディスプレイは、SF映画によく出てくるものの1つである。平山竜士(英国サセックス大学)たちは今回、そうしたディスプレイを実現させることのできる方式を開発した。しかも、このディスプレイには、映像の他に可聴音と触感まで含むという利点がある。この方式の根底にあるのは、入念に構築された音場によって微小粒子がトラップされて移動する音響泳動である。すなわち、粒子に光が適切に照射され、粒子の動きが十分速ければ、粒子が自由空間に立体を描き出すように見える。その一方で、ディスプレイの駆動に音響場を用いているので、描き出された像から音が聞こえるようにもなり、さらには視聴者の皮膚に触感をも生じさせる。つまり、表示された像を見ることができ、聞くことができ、「触る」ことまでできるのである。

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