Volume 569 Number 7758

Editorials

ヒトマイクロバイオームプロジェクト(HMP)の第2段階から、炎症性腸疾患や2型糖尿病、早産についての貴重な情報が得られ、今後このプロジェクトのさらなる発展が期待される。

After the Integrative Human Microbiome Project, what’s next for the microbiome community? p.599

doi: 10.1038/d41586-019-01674-w

30年前に世間をにぎわせた常温核融合の実現可能性が、米国Google社によって再検討され、議論を呼んでいる。

A Google programme failed to detect cold fusion — but is still a success p.599

doi: 10.1038/d41586-019-01675-9

今週号には、一度撤回されたのとほぼ同じ論文が、修正を経て新たな成果として掲載されている。

Look beyond the ‘retraction’ label p.600

doi: 10.1038/d41586-019-01676-8

News

ヨーロッパの超高出力レーザー研究施設(ELI)が、完成直前で足踏み状態に。

World’s largest laser lab rocked by slew of disputes p.607

doi: 10.1038/d41586-019-01607-7

ブラジルで、科学予算の削減を阻止するためのイニシアチブが。

Brazilian scientists strive to turn politicians into allies p.609

doi: 10.1038/d41586-019-01648-y

米国で、枯死した針葉樹林を燃やす計画に乗じて、大規模森林火災の際に煙や炎がどう広がるかのモデルを改善しようとする試みが。

These scientists are setting a forest on fire — and studying it with drones p.610

doi: 10.1038/d41586-019-01604-w

Google社が資金を提供した新たな研究でも、常温核融合が可能であるという証拠は得られず。

Google revives controversial cold-fusion experiments p.611

doi: 10.1038/d41586-019-01683-9

英国ウェルカム・サンガー研究所が動物実験施設の閉鎖を発表し、科学者たちに不安が。

Genomics institute to close world-leading animal facility p.612

doi: 10.1038/d41586-019-01685-7

News Features

ビッグデータ:監視科学

Can tracking people through phone-call data improve lives? p.614

大規模災害などの際に、動きを把握するのが難しい人々を携帯電話の通信記録で追跡する試みが進められているが、これは本当に人々の生活の向上につながるのだろうか。

doi: 10.1038/d41586-019-01679-5

生態学:保全活動をハックする

Hacking conservation: how a tech start-up aims to save biodiversity p.618

進化生物学者で弁護士でもあるAlex Dehganは、テクノロジー企業を立ち上げてツールなどを開発することで、生物多様性の保護の問題に取り組んでいる。

doi: 10.1038/d41586-019-01678-6

News & Views

微生物学:ヒトと微生物を追跡する

Tracking humans and microbes p.632

ヒトマイクロバイオームプロジェクトによって、ヒトに見られる健康関連微生物に注目が集まった。今回このプロジェクトの第2段階によって、疾患における微生物の擾乱と宿主のさまざまな過程とが関連する仕組みが示された。

doi: 10.1038/d41586-019-01591-y

実験物理学:ブラックホールの放射の量子シミュレーション

Quantum simulation of black-hole radiation p.634

ブラックホールが放出すると考えられている放射の観測は、極めて困難である。今回、極低温原子の系からなるブラックホールの類似体を用いて、この放射の特性が分析された。

doi: 10.1038/d41586-019-01592-x

細胞生物学:ミトコンドリアへの進入ゲートを守る

Guarding the gate for mitochondrial entry p.635

細胞小器官にタンパク質を運び込むシステムは、タンパク質によって詰まってしまうことがある。今回、小胞体のタンパク質が、ミトコンドリアにおけるこうした閉塞も取り除くことが分かった。

doi: 10.1038/d41586-019-01588-7

がん:脳細胞は前立腺腫瘍に入り込む

Nerve cells from the brain invade prostate tumours p.637

前立腺がんは神経細胞を含んでいて、この細胞は疾患の進行に関連するが、それがどこから来ているかは分かっていなかった。今回マウス研究によって、脳由来の細胞が前立腺腫瘍に入り込み、神経細胞集団を生み出すことが明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-019-01461-7

エレクトロニクス:一歩前進した人工触覚システム

Bridging the gap between artificial vision and touch p.638

今回、革新的な手袋を使った物体の操作によって、詳細な圧力マップの大規模データベースが得られるようになった。こうしたデータは、ロボットセンシングの進歩や物体の操作における触覚の役割に関する理解の向上につながる可能性がある。

doi: 10.1038/d41586-019-01593-w

Perspective

微生物学:統合ヒトマイクロバイオームプロジェクト

The Integrative Human Microbiome Project p.641

doi: 10.1038/s41586-019-1238-8

Articles

気候科学:アジアの縮小する氷河が干ばつストレスから多くの人口を保護している

Asia’s shrinking glaciers protect large populations from drought stress p.649

doi: 10.1038/s41586-019-1240-1

微生物学:炎症性腸疾患における腸内微生物生態系のマルチオミクス

Multi-omics of the gut microbial ecosystem in inflammatory bowel diseases p.655

doi: 10.1038/s41586-019-1237-9

微生物学:前糖尿病における宿主–微生物ダイナミクスの長期的マルチオミクス

Longitudinal multi-omics of host–microbe dynamics in prediabetes p.663

doi: 10.1038/s41586-019-1236-x

がん:中枢神経系由来の前駆細胞が、がんで神経発生を駆動する

Progenitors from the central nervous system drive neurogenesis in cancer p.672

doi: 10.1038/s41586-019-1219-y

細胞生物学:ミトコンドリアタンパク質の移動に関連する分解

Mitochondrial protein translocation-associated degradation p.679

doi: 10.1038/s41586-019-1227-y

Letters

天文学:最終崩壊前の大質量白色矮星合体天体

A massive white-dwarf merger product before final collapse p.684

doi: 10.1038/s41586-019-1216-1

実験物理学:熱的なホーキング放射の観測と類似ブラックホールにおける温度

Observation of thermal Hawking radiation and its temperature in an analogue black hole p.688

doi: 10.1038/s41586-019-1241-0

量子物理学:原子状の反射鏡による共振器量子電気力学

Cavity quantum electrodynamics with atom-like mirrors p.692

doi: 10.1038/s41586-019-1196-1

エレクトロニクス:スケーラブルな触覚手袋を用いたヒトの把持の特徴の学習

Learning the signatures of the human grasp using a scalable tactile glove p.698

doi: 10.1038/s41586-019-1234-z

化学合成:第四級中心によって導かれる複雑な多環式テルペンの合成

Quaternary-centre-guided synthesis of complex polycyclic terpenes p.703

doi: 10.1038/s41586-019-1179-2

神経科学:神経回路において知覚経験がゲノム高次構造の再構築を促し、学習と記憶を誘導する

Sensory experience remodels genome architecture in neural circuit to drive motor learning p.708

doi: 10.1038/s41586-019-1190-7

植物科学:頂端の低酸素ニッチはシュート分裂組織の活性を調節する

An apical hypoxic niche sets the pace of shoot meristem activity p.714

doi: 10.1038/s41586-019-1203-6

免疫学:STINGの保存されたPLPLRT/SDモチーフはTBK1の誘導と活性化を仲介する

A conserved PLPLRT/SD motif of STING mediates the recruitment and activation of TBK1 p.718

doi: 10.1038/s41586-019-1228-x

がん:プロテオミクスから、NNMTががん関連繊維芽細胞のマスター代謝調節因子であることが明らかになった

Proteomics reveals NNMT as a master metabolic regulator of cancer-associated fibroblasts p.723

doi: 10.1038/s41586-019-1173-8

発生生物学:ゲノム–ラミナ間相互作用は、マウス初期胚ではde novoに確立される

Genome–lamina interactions are established de novo in the early mouse embryo p.729

doi: 10.1038/s41586-019-1233-0

分子生物学:C. elegansの核では活性クロマチンの標識がヘテロクロマチンの空間的隔離を駆動する

Active chromatin marks drive spatial sequestration of heterochromatin in C. elegans nuclei p.734

doi: 10.1038/s41586-019-1243-y

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