Letter 医学:フレクスナー赤痢菌のエフェクターであるOsp IはUBC13を脱アミド化して炎症反応を抑制する 2012年3月29日 Nature 483, 7391 doi: 10.1038/nature10894 多くの病原細菌はさまざまな宿主細胞に侵入後、一時的に液性免疫を回避して細胞内で生存し、さらにほかの細胞や組織へ感染を拡大する。細菌が宿主細胞に侵入して細胞内で増殖すると、宿主細胞は多様なパターン認識受容体によってダメージ関連分子パターン(DAMP)や病原体関連分子パターン(PAMP)を認識することで、細菌の侵入を感知する。その結果、宿主細胞は危険信号を誘導して自然免疫系を活性化する。したがって、細菌は宿主の炎症シグナルを制御して、これらの危険信号を抑制しなくてはならない。しかし、病原細菌が上皮細胞に侵入後にどのようにしてこれを行うかはまだ明らかにされていない。本論文では、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)の大型プラスミド上のORF169b遺伝子にコードされ、III型分泌システムによって分泌されるOspIというエフェクター(病原因子)が、TRAF6(tumour-necrosis factor-receptor-associated factor 6)を介するシグナル伝達経路の抑制によって細菌侵入時の急性炎症反応を抑制することを明らかにする。OspIはグルタミンデアミダーゼで、UBC13の100番目のグルタミン残基を選択的に脱アミド化してグルタミン酸残基にする。その結果、TRAF6の活性化に必要なUBC13のE2ユビキチン結合活性が阻害され、赤痢菌の感染によって活性化されるジアシルグリセロール–CBM(CARD–BCL10–MALT1)複合体–TRAF6–NF–κBシグナル伝達経路がOspIにより障害されるようになる。我々はOspIの結晶構造を2.0 Åの分解能で決定した。その構造中には、システイン–ヒスチジン–アスパラギン酸の触媒三つ組残基と予想されるものが含まれている。OspI変異体の解析によって、この触媒三つ組残基がUBC13の脱アミド化に必須であることが示された。我々の結果は、フレクスナー赤痢菌がUBC13–TRAF6複合体を標的にすることによって感染初期に急性炎症反応を阻害することを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る