Abstract

磁性トポロジカル絶縁体

Nature Reviews Physics

2019年1月18日

Magnetic topological insulators

大域的バンドトポロジーの重要性は、物性物理学において明確に認められており、トポロジカル絶縁体などの新しい物質状態が発見されている。3Dトポロジカル絶縁体には、バルクのバンドトポロジーに起因する質量ゼロのディラック分散があり、表面でスピン運動量固定が起こる。3Dトポロジカル絶縁体は、もともとは時間反転不変な系において提唱されたものであるが、自発磁化の発現、すなわち時間反転対称性の破れは、ディラックバンド分散における交換ギャップの形成につながる。そうした磁性トポロジカル絶縁体では、交換ギャップにおけるフェルミ準位の調整によって、ゼロ磁場での量子ホール効果、すなわち量子異常ホール効果が現れる。今回我々は、磁性トポロジカル絶縁体の基本概念および実験的実現とともに、その創発的特性の発見と検証について概説する。特に、ヘテロ構造エンジニアリングによるテーラード・マテリアルの開発によって、量子異常ホール効果、トポロジカル電気磁気効果、こうした物質に現れるカイラルエッジ状態に関連する物理現象、さまざまなスピントロニクス現象がどのようにして実現できたかについて論じる。磁性トポロジカル絶縁体のさらなる理論的・実験的研究によって、低エネルギー消費スピントロニクス、無散逸トポロジカルエレクトロニクス、トポロジカル量子計算などに応用される次世代電子デバイスの新しいコンセプトを生み出す豊かな基盤が得られる。

Yoshinori Tokura, Kenji Yasuda and Atsushi Tsukazaki

Corresponding Author

十倉 好紀
理化学研究所 創発物性科学研究センター

doi:10.1038/s42254-018-0011-5 | 英語の原文

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