Primer

白内障

Nature Reviews Disease Primers

2015年6月11日

Cataract

白内障
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白内障は、世界の可逆的失明と視力障害の第一位の原因である。白内障による失明は、社会経済的状態が低い集団によりよくみられ、先進国よりも開発途上国のほうが多い。白内障の唯一の治療法は外科手術である。先進国における白内障手術のゴールドスタンダードは水晶体乳化吸引術であるが、開発途上国では用手小切開白内障手術が頻繁に行われている。一般的に、手術の転帰は良好で、眼内炎などの合併症も、適切な管理によって多くの場合予防可能、もしくは転帰良好となる。先進技術であるフェムトセカンドレーザー白内障手術は、複数のステップを自動化できる;当初、このアプローチが現在の手技よりも優位であることを示すデータが得られなかったが、現在、多くの大規模臨床試験の結果が待たれている。最大の問題は、外科手術を無理なく受ける手段がない開発途上国において、未治療の白内障失明患者が増え続けているということである。これらの国々では、増員された白内障外科医の訓練を目指した取り組みがなされているが、人口の高齢化による医療要求の増大に追いついていない。白内障の形成を予防または遅延する戦略はない。したがって、医療サービスが十分でない地域への白内障手術の効率的なサービス提供モデルを開発する必要があり、その取り組みと支援に重点を置くことが大切である。

本Primerの図解サマリー

doi:10.1038/nrdp.2015.14

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