Primer

尋常性白斑

Nature Reviews Disease Primers

2015年6月4日

Vitiligo

尋常性白斑
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尋常性白斑は、世界人口の0.5%から2%が罹患する後天性脱色素疾患であり、病変の局在の違いによって非分節型、分節型、混合型の3つに分類される。白斑には、免疫応答とメラニン形成に関与する遺伝子多型が関連しているが、この顕性疾患の発症には環境因子も必要となる。通常、診断は臨床所見をもとに行われ、検査室検査や生検は必要とされない。病態生理に関する現在の概念は、代謝変化が主流である。この代謝変化によって、表皮での活性酸素種の産生および軽度の外因性刺激に対する感受性が増加する。このことから皮膚細胞の老化表現型が発現され、先天性免疫分子の分泌が誘発される。この分子は自己免疫反応を惹起し、最終的にメラノサイトの機能障害および細胞死の原因となる。臨床管理の目的は脱色素の抑制であり、疾患の範囲に応じて皮膚の再着色または脱色素のいずれかを行う。新しい治療方法としては、αメラノサイト刺激ホルモン類似体または表皮幹細胞工学を用いてメラノサイトの分化と増殖を刺激する方法がある。いくつかの問題点、例えばメラノサイトの消失と幹細胞の枯渇の関連、基本的な変性機序、細胞死の生物学的メディエーターなどが未解決のまま残されている。総じて、変性と自己免疫の過程に関する研究および再生医学の新しいアプローチの試みを行う上で、白斑は優れたモデルといえる。

本Primerの図解サマリー

doi:10.1038/nrdp.2015.11

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