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自己免疫性リウマチ性疾患におけるエピジェネティックな変化

Nature Reviews Rheumatology

2011年2月22日

Epigenetic alterations in autoimmune rheumatic diseases

エピジェネティックな変化が自己免疫性リウマチ性疾患の病因に何らかの役割を果たす可能性について、研究者らの間で期待が大きく高まっている。エピジェネティックな機序は、遺伝子発現を調節し、かつ外的な刺激に対して感受性があることから、環境要因と遺伝的要因の間の橋渡しとなっている。全身性エリテマトーデス(SLE)および関節リウマチなどの疾患では、エピジェネティックな変化、特にDNAメチル化パターンの変化を示すかなりの証拠が見つかっている。一卵性双生児の片方が疾患を有する場合には、その疾患の発現の有無の原因としてエピジェネティクスではなく遺伝子そのものの変異の可能性を除外できるが、そのような症例において遺伝子特異的メチル化とSLEの間の関係を調べることによって、リウマチ性疾患の病態におけるエピジェネティックな変化の重要性が明らかにされてきている。DNAメチル化の変化には組織特異性があることが重要だと複数の研究により強調されてきており、エピジェネティックな研究をデザインする際にはこの点を考慮する必要があるが、これは遺伝子解析とは異なる点であ る。本稿では、自己免疫性リウマチ性疾患の病理発生においてDNAメチル化の変化について提唱されている機序および意味、リウマチ学における将来のエピジェネティックな研究の展望、特異的DNAメチル化マーカーの妥当性、そして、これらの疾患の臨床的管理においてエピジェネティックな効果を有する薬剤使用の可能性について論じる。

doi:10.1038/nrrheum.2011.16

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