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抗リン脂質抗体症候群の新しい管理法

Nature Reviews Rheumatology

2009年3月1日

New approaches for managing antiphospholipid syndrome

抗リン脂質抗体(aPL)は、一連の自己抗体の1つで、リン脂質結合血漿蛋白質(ほとんどがβ2-糖蛋白質-I)を標的とする。aPLが持続して陽性の患者の血栓症一次予防には、リスクを層別化する方法が必要である。可逆的で除去可能な血栓症危険因子を取り除くことと、高リスク期の積極的な予防処置が重要となる。血管病変のないaPL持続陽性患者に対するアスピリンの有効性は、前向き対照によって証明されてない。aPL持続陽性患者における血栓症二次予防のために現在推奨されているのは、生涯にわたるワルファリン投与である。しかし、ワルファリン投与治療の強度と期間ならびに代替抗凝固薬の役割を決定するには、さらなる研究が必要である。血管病変を有する抗リン脂質抗体症候群(APS)患者に対する高強度抗凝固療法の有効性についても、前向き対照研究による裏付けは得られていない。劇症型APS患者には通常、抗凝固薬、コルチコステロイド、免疫グロブリン静脈内投与および血漿交換の併用が用いられる。しかし、このような積極的な治療にもかかわらず、死亡率は依然として高い。aPL持続陽性患者の新しい管理法の候補としては、hydroxychloroquine、スタチン系薬剤、リツキシマブ、補体阻害、およびAPS実験モデルで有効であったその他の標的療法などがある。

doi:10.1038/ncprheum1017

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