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血管炎症候群に対する抗腫瘍壊死因子療法

Nature Reviews Rheumatology

2008年5月27日

Drug Insight anti-tumor necrosis factor therapies for the vasculitic diseases

腫瘍壊死因子(TNF)を標的とする生物学的製剤の導入は、血管炎症候群(vasculitic disease)の治療法を検討する新しい刺激的な道を開いた。TNF 阻害薬は、発症に関与すると考えられる免疫経路を標的とする作用機序を有することから、肉芽腫形成を伴う血管炎症候群において特に魅力的な治療法である。今日まで、主にウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、ベーチェット病などの血管炎症候群患者に対するTNF 阻害薬の使用が、一連の重要な試験において検討されてきた。血管炎症候群に対する抗TNF 療法を検討した無作為化プラセボ対照試験では、その臨床結果の共有だけでなく、研究者同士のネットワークがこれら稀な疾患に関する多施設共同試験を実施可能にしたことも証明され、われわれの知識に大きな進歩がもたらされている。ウェゲナー肉芽腫症または巨細胞性動脈炎の患者におけるTNF 阻害薬の使用経験から、ある治療法が有効かどうかを判定するには、有望な予備的データが得られている場合であっても、無作為化試験が重要な役割を果たすことが強調されている。そのようなデータが得られるまで、臨床診療では慎重さが求められている。

doi:10.1038/ncprheum0825

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