Research Highlights

カテプシンK は自己免疫性関節炎の治療標的となり得る

Nature Reviews Rheumatology

2008年5月1日

HCathepsin K is a potential therapeutic target for autoimmune arthritis

カテプシンK は骨吸収に不可欠なリソソーム内プロテアーゼであり、破骨細胞に特異的であると考えられている。このため、自己免疫性関節炎や骨粗鬆症 など、破骨細胞の活性が亢進する骨疾患の治療標的となる可能性がある。Asagiri らは、関節炎および脳脊髄炎の動物モデルを用いてカテプシンK の役割と、治療に対する可能性を評価した。

著者らは、アジュバント関節炎ラットにおけるカテプシンK 阻害薬とアレンドロネートの作用を比較した。カテプシンK の阻害には、アレンドロネートと同等の関節周囲骨粗鬆症に対する抑制作用がある が、同時に骨びらんや炎症を抑制する作用もある。培養樹状細胞では、カテプシンK 阻害はToll 様受容体9(TLR9)のシグナル伝達を抑制するとともに(TLR9 リガンドである非メチル化CpG オリゴデオ キシヌクレオチドによる抑制試験で示される)、17 型ヘルパーT 細胞の誘導も抑制した。最後に、カテプシンK–/– マウスに実験的に自己免疫性脳脊髄炎を誘発し、自己免疫性炎症でのTLR9 シグナル伝達にお ける本蛋白の役割を分析した。カテプシンK–/– マウスは対照マウスに比し、症状の程度ははるかに軽く、脊髄炎症の発現は少なかった。

以上の結果から、カテプシンK は破骨細胞および樹状細胞に対して作用することが示唆される。カテプシンK 依存性のTLR9 シグナル伝達は自己免疫過程に重要な役割を担っており、このリソソーム内プロテアーゼは自己免疫性関節炎の治療標的として有望である。

doi:10.1038/ncprheum0785

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