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糖尿病性網膜症の発症および進展に対する全身作用薬の作用

Nature Reviews Endocrinology

2010年7月27日

Effect of systemic medications on onset and progression of diabetic retinopathy

世界的に糖尿病性網膜症は依然として、視力喪失の原因の第一位である。糖尿病患者は一般に複数の合併症を有しており、幅広い種類の薬剤を服用している。 血糖コントロールおよび合併疾患を標的とした全身作用薬は、糖尿病性網膜症の発症または進展に対して有益または有害な影響を及ぼす可能性がある。加えて現在、主として糖尿病性網膜症という眼の合併症に焦点を当てた全身作用薬の使用は、期待できる治療アプローチであることを示唆するデータが蓄積されつつある。本稿では、高血糖、脂質異常症、高血圧、心疾患、貧血、炎症および癌のコントロールに使用される薬剤を含む、糖尿病を有する患者に一般的に用いられる全身作用薬が眼に及ぼす特異的な作用に関して、現在われわれが理解している点についてレビューした。現在の臨床エビデンスでは、早期の糖尿 病性網膜症の発症を予防または進展を遅延させる上で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬およびアンジオテンシンⅡ受容体遮断薬の使用に関して最も強いエビデンスが得られている。より限られた範囲では、糖尿病黄斑浮腫に対するフィブラート系薬剤のベネフィットがエビデンスとして得られている。その他数多くの薬剤が、注目に値する期待できる点や潜在的リスクを有している。したがって、最終的な治療ケアの推奨事項が提唱される前に、これらの薬剤に関して、現状の臨床的有用性や有害作用を特定するためのさらなる厳格な研究の実施が必要である。

doi:10.1038/nrendo.2010.122

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