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高インスリン血性低血糖症の診断および治療の進歩

Nature Reviews Endocrinology

2009年2月1日

Advances in the diagnosis and management of hyperinsulinemic hypoglycemia

高インスリン血性低血糖症(HH)は、膵β細胞によるインスリン分泌制 御が不十分なために生じ、低血糖性脳障害および精神遅滞の重要な原因と なる。先天性HH はインスリン分泌制御に関与する遺伝子の変異により引き 起こされ、これまでに7 種類の遺伝子(ABCC8 、KCNJ11 、GLUD1 、CGK 、 HADH 、SLC16A1 およびHNF4A )が同定されている。重度の先天性HH は、 膵β細胞ATP 感受性カリウムチャネルの2 つのコンポーネントをコードす るABCC8 およびKCNJ11 の変異により生じる。HNF4A 、GLUD1 、CGK 、お よびHADH の変異は一過性または持続性HH の原因となり、SLC16A1 の変 異は運動誘発性HH に関与する。先天性HH に対する迅速な遺伝子スクリー ニングと組織学的特性(限局性またはびまん性疾患)の解明、腹腔鏡下手 術時のガイドを目的とした18F-L-3,4- ジヒドロキシフェニルアラニンPET/ CT の導入により、この複雑な疾患に対する臨床アプローチは一変した。成 人発症型HH のほとんどはインスリノーマが原因であるが、非インスリノー マ性膵由来低血糖症候群の患者、胃バイパス術を施行した肥満症患者、お よびインスリン受容体遺伝子に変異がある患者では、食後HH を認める場合 が報告されている。

doi:10.1038/ncpendmet1046

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