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Nature Reviews Cancer

2006年2月1日

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白血病の予後不良サブタイプには、アポトーシスが起こりにくくなる傾向があるが、これまでの遺伝子発現プロファイリング試験では、さまざまな形で発現するアポトーシス遺伝子がほとんど特定されていない。そこでWilliam EvansとRob Pietersらは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)患児190例から採取した白血病細胞を用いて、重要なアポトーシス遺伝子70個の発現を分析した。

Evansらは、ALLサブタイプの発現プロフィールの差を突き止めた:遺伝子44個はT細胞系ALLとB細胞系ALLとで発現の仕方が明らかに異なり、22個はB細胞系ALLの高二倍体と非高二倍体とで異なり、16個はB細胞系ALLのTEL?AML1+ とTEL?AML1-とで異なり、13個はB細胞系ALLのE2A再構成とE2A生殖細胞系とで異なっていた。次に、B細胞系ALLグループを対象に、薬剤感受性患者と薬剤耐性患者とのアポトーシス遺伝子の発現の差を検討した。どのプローブセットも、ビンクリスチン耐性およびダウノルピシン耐性には関連していなかったが、MCL1およびDAPK1はプレドニゾロン耐性に、BCL2L13、HRKおよび TNFはLアスパラギナーゼ耐性に関連していることがわかった。

単独で治療転帰に関連していた遺伝子は、BCL2L13のみであった。5年無病生存率は、BCL2L13の発現レベルが低い患者が85%、高い患者が66%であった。以上の所見の妥当性は、薬物は同じで、プロトコールが異なる治療を実施した患者92例の独立コホートで確認されている。

BCL2L13は細胞系で向アポトーシス活性をもつことから、この試験で、高い発現レベルが薬剤耐性につながるのは驚きである。Evansらは、初代白血病細胞のアポトーシスにまつわるBCL2L13の役割が別にあるか、または抗アポトーシス性のスプライスバリアントがあるのではないかと示唆している。今は、BCL2L13の発現を小児ALLの真の予後因子として確立するために、プロスペクティブな実証が必要とされている。

doi:10.1038/fake869

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