Research Highlights

ティータイム

Nature Reviews Cancer

2004年4月1日

緑茶ポリフェノールのエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)は、疫学研究により癌を予防することがわかっており、in vitro試験でも、抗増殖活性および抗血管新生活性が明らかにされている。しかし、この成分が細胞の何を標的にしているのかは謎のままであった。現在、立花宏文らは、67-kDaラミニン受容体(67LR)がEGCGに細胞応答性を与えることを示している。

立花らは、サブトラクションクローニングの手法をとり、EGCGと細胞表面とを結合させるタンパク質をコードする単一遺伝子を単離した。この遺伝子は、種々な腫瘍細胞に発現する67LRをコードすることがわかった。しかも、その発現は腫瘍浸潤および転移と関連付けられている。

67LRを形質移入した細胞は、EGCGで処置すると、対照細胞よりも増殖が遅く、 EGCGが細胞と結合するには受容体の発現が必要であった。ラミニンは、EGCGと67LRとの相互作用を減弱させた。さらに、67LRは生理的濃度の EGCG (0.1 and 1.0 m)に対する感受性を示し、細胞増殖速度を抑えるのに有効なこの濃度は、茶を2〜3杯飲んだヒトの血漿中に認められる濃度とほぼ同一であった。カフェインおよび上記以外の茶ポリフェノールなど、緑茶のほかの成分に、LRを発現する細胞の増殖に影響を及ぼす作用は見つかっていない。

67LRは、網膜血管形成に関与していることがわかっており、遺伝子発現プロファイリング試験では、悪性中皮腫においてアップレギュレートされることが示されている。67LRが細胞増殖および血管新生を調節する機序を把握すれば、癌予防の新しい方法がもたらされるものと思われる。

doi:10.1038/nrc1329

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